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コンフォート商品が、提案する快適性、展開する価格帯、デザイン、販売する売場で多様化を見せ、さらに市場は拡大している。

快適性の多様化

衝撃をやわらげる、あるいは反発させるインソール使いから、インソールやライニング材の防臭・抗菌性をポイントにするもの、ローリング機能のあるアウトソール使い、足を刺激しないよう優しく包み込むインナー設計など、機能的な快適性の提供が多彩になっている。

価格の多様化

4万円前後の欧州の伝統的なコンフォートから、各種の機能素材を搭載した2万円台の国産革ブランド、そして最近では1万円を切るリーズナブルものまで、幅広い価格帯で購入客層を広げている。

デザインの多様化

ビジネスやスポーティーなウォーキングタイプ主流から、最近は通勤・職場用のソフトパンプス、そして新たに白ソールにニットアッパーのスニーカータイプなどが、売場では快適な靴として、コンフォート商品で提案されている。

売場の多様化

コンフォート専門店、百貨店や靴店のほか、スポーツ後のリラックスシューズとして、スポーツ店でもサンダルタイプのコンフォートが販売されている。さらにインソールを専門に製作する店でも扱うなど、販売現場は着実にすそ野を広げている。



売場レポート

シューズ・ハチロー
 2万円以上のコンフォートで品ぞろえ

「フィンコンフォート」はオフィス&メディカル対応

 東急線都立大学駅の正面という好立地にある。2016年にコンフォートショップに切り替え、現在の商品はほとんどがコンフォートシューズとなっている。ブランドは「フィンコンフォート」「アサヒメディカルウォーク」「シアンシューズのセミオーダー(カジュアルシューズ)」が三本柱で、2万円以上が主力となる。
顧客は付近の60〜80代のシニア女性が中心で、外反母趾、強剛母趾など足にトラブルを抱えている人が多い。自分自身の足の形を知らず、「甲高・幅広」と思い込んでいる人もいる。そんな顧客たちの足を計測、インソールの調整も含めて的確な靴選びを行っているのが、井口店長である。
 
 「近所や職場ではくサンダルとして「フィンコンフォート」がよく売れています。かかとのあるタイプのサンダル『FES』の黒は、定番カラーとして年間通して販売しており、オフィス履きのニーズに応えています」(井口店長)。
 フィンコンフォートにはメディカル用のホワイトカラーもあって、オープントウの「USEDOM」、レースアップの「OTARU」、ワンベルトの「HIBIYA」の3タイプをそろえる。医療現場の固い床からの衝撃を抑えることができる。


シアンシューズのイージーオーダーも扱う

 「アサヒメディカルウォーク」では、RW(ランニング・ウォーキング用)がお勧め。ただし、顧客層がシニアなので、タイトなシルエットよりは4EでメッシュタイプのMSLか、足当たりの柔らかなWKL001のほうが売れるという。
 シアンシューズのイージーオーダーも手掛けている。ヒールものだけでなくカジュアルタイプの成型底もあり、サイズ21〜26センチ、ウイズC、1E、3E、Fから選択、カラーも選べる。
 井口店長にはこれからやってみたいことがある。
 「同じコンフォート店とネットワークを作りたい。個人で経営しているところは限界があります。情報交換をし、在庫を融通しあうなど、協力関係を構築できればと思っています」。その意味で、同業者の見学もアポをとってくれさえすればOKだという。

東京都目黒区中根1−2−7
TEL:03・3717・6165



わかまつ靴店
 歩きやすさで人気の国産ブランドやスニーカー

売れ筋トップは「アキレスソルボ」


 横須賀線衣笠駅前から延びる商店街に、42坪の店舗を構える。コンフォートへの取り組みは「菊地武男の靴」を導入したことから始まり、すでに30年以上を数える。召田憲司代表は、バチェラー、幼児子供・シニア専門シューフィッター、義肢装具士とマルチな資格を持ち、バチェラーコースの講師も務めた。
 同地区はシニアが多く、コアな顧客層は60代。取り組みとして付近の病院ともタイアップし、足の負担を軽減するインソールを製作して靴とあわせて販売している。
 キッズ、メンズ、レディスとフルラインだが、主力はコンフォートシューズ。ドイツの「フィンコンフォート」や「アラ」など外国のものもあるが、売れ筋のトップは、「アキレスソルボ」である。衝撃を吸収する機能性のほか、カラフルなアッパーも好評で、秋冬にはマットな光沢を持ったものもよく売れている。また、3E設定だが、かかとが細く絞られた「SRL4720」も評判が良い。

幅広い層に人気の6000円台の商品

 注目しているのがフランス「パラディウム」のスニーカー。防水使用で、足入れもよい。環境を配慮しエコ素材を使用していることや、カップインソールで加工しやすくなっていることも、お勧めしやすいポイントになっている。同じくスニーカーで、ミズノの「ウェーブガゼル」もゴアテックスを使用した防水機能のあるタウン履きとして人気がある。
数的に見ると「イヴ」「ワールドマーチ」「スポルス」などムーンスターの商品が、幅広い顧客層に売れており、価格帯も6000円台のものもあり人気だ。
 「時代の流れとして、コンフォートの市場は広がっていくのではないでしょうか。以前のいかにもコンフォートというものよりは、レザースニーカー的なものが増えていくと思います。市場では『大人も履けるレザースニーカー』タイプのものが求められているのではないでしょうか」(召田憲司代表)。
 客単価は1万2000〜1万6000円程度。高価なインポートシューズだけでなく、手頃な国産ブランドや歩きやすいスニーカーにも消費者の目が向いている。

神奈川県横須賀市衣笠栄町1−70
TEL:046・851・4428