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地域に密着 ラ・フローラ ムラカミ

中心は60代。安売りもセールもせず、共感のセールストークでファン増やす

野菜や糀など地域生産物も販売

「ラ・フローラ ムラカミ」は埼玉県草加市の閑静な住宅街で営業しているシューズ専門店。靴店は57年前に、先代が松原団地エリアでスタート。現在2代目の店主・岡本恵美子さんが、1997年に現在の地に移転して営業を続けている。

 店舗のある場所は、賑やかで活気のある商業地から離れている。そのため、「地域的なつながりと口コミの重視」を営業指針としている。品ぞろえも特徴的で、靴のほか、農家の方が麹からつくった味噌や、障がい者施設で製作されたマドレーヌや小物も販売している。
「いまはコロナで控えてますが、店内で毎週火曜日に、無農薬野菜の販売も行ってます。店の利益にはなりませんが、人が集まり、地域に親しまれる店として、のフレンドリーなイメージを地元に浸透しています」(岡本さん)
 婦人靴の専門店として、顧客は60代が中心となり、履きやすさ、歩きやすさを優先にした品ぞろえをしている。主な扱い商品は、「メディカルウォーク」「パワークッション」など国内ブランドに加え、「シンク」「ロインツ」「アラ」など海外のコンフォート・ブランドも扱っている。



外反母趾の足を見せながら、安心して履ける靴を勧める

 価格は高めだが、顧客の共感が得られるセールストークで販売している。岡本さん自身が外反母趾であるため、同し悩みを持つ方には信頼されており、革使いの快適な履き心地の得られる靴を勧めている。
「私自身『シンク』の靴を履いており“私も外反母趾でこの革靴を愛用してます”と足を見せながら説明します。するとお客さまも安心して足を見せながら“同じモノないの?”と、購入につながります」。
 販売方針として、同店では安売りをせず、期末セールも行っていない。勧めた靴に満足し、固定客になられた方が、新たな友達を連れて来るケースもある。こんな時、同じ商品なのに、価格が違っていては信用されないからだ。こうした姿勢が口コミによって、地域のファンを増やしている。
「お勧めした靴に足入れしただけで、感動されることもあります。“こんな履きいい靴あるの”と。値段は高い靴だけど勧めて良かった、と思えるところです。その方はその後、固定客になっています」。
 客単価は1万円以上を維持している。これが量販店と差別化になっている。

ヒット商品となったかわいい着圧ソックス

靴以外にも、高単価商品を扱っている。着圧ソックスの「ソックウェル」もその一つだ。一足3850円と一般的な靴下に比べて高額だが、岡本さんの女性らしい視点でのセレクトで、ヒット商品となり、売れ筋アイテムに育っている。
「同じような機能をもつ着圧ソックスは、病院でも売られています。でもカワイイのがないのです。『ソッククェル』はデザイン性もあり、すごく喜んでもらえます。足のむくみを緩和するなど機能性も伝え、試し履きをしてもらいながら勧めています」。
 顧客のなかには、複数で購入しようという人もいるが、岡本さん1足だけの購入に留めるように促す。とりあえず日常で使ってもらわないことには、その人に合う、合わないが分からないからだ。
「靴もそうですが、一度使ってみて、気に入ればまた来てください、と伝えています」。
 顧客目線で販売するという心がけは、多くの優良顧客をつかんでいる。評判を聞いて、自転車やクルマで市外から足を運んでくれる顧客もいる。



埼玉県草加市旭町5−5−8
TEL:048-942-1433