今月の記事・ピックアップ 2021・12
 HOME > フットウエアプレス > 2021年版 靴・ヒット商品番付
2021年版 靴・ヒット商品番付

靴 ライフスタイル対応の商品が人気に

長く続いた緊急事態宣言下、大きなヒット商品はなかったものの、新しいライフスタイルの登場する中でヒット商品は見られた。サステナブル/SDGS、キャンプ、在宅、晴雨/オン・オフ兼用といったスタイルに対応した商品だ。トレンドスタイルで動いたブーツは、カジュアル、エレガンスともに売場を活性化するものとなった。また、夏場の不順な天候の中でも人気サンダルは生まれた。

 サステナブルに包括されるSDGSという用語が頻繁に使われるようになっている。ともに持続可能な開発目標と訳されており、企業の取り組み目標となっている。
皮革業界もSDGSが掲げる17の目標の中から目標を掲げ、企業姿勢としている。この中ではエコに対する取り組みが多い。環境にやさしい製造工程やレザーの開発、エコレザーを使った製品づくり、ペットボトルの再生素材からの商品開発などが見られる。
SDGSへの取り組は、今後も皮革業界にとっても大きな流れになろう。

 市場のボリュームゾーンでは依然、スニーカーの購買比率は高く、カジュアルシューズの定番となっている。とくに幅広い年齢層に支持されているのがニットスニーカーで、低価格なものからあり、スニーカーの中で大きなシェアを占めている。厚底スニーカー、ダッドスニーカーからさらにハードになったようなゴツゴツソールのロックソール<Xニーカーも、新たないアイテムとして、若い層に人気となった。
スニーカーではバスケットの「コンバース」も多くの人に履かれたほか、「エアーフォースT」「ダンク」などクラシックなバスケットも若い層で人気となった。

   ドレス調、カジュアル調の両スタイルで人気だったのがローファーだ。前年の定番的なオクスフォードから、ビット、チェーンなど金具付きで、ノーズのやや長いセミ・スクエアなローファーに、トラッドな靴の人気が移行した。
オン・オフでの履きこなしができはることも、幅広い世代から支持された理由だろう。また、ローヒールの履きよさは、スニーカーからの移行組の購買につながった。

   神戸の革カジュアルメーカー・エルフが昨年に引き続き好調を持続。PB「ドラ エスダブリュ」と問屋OEMの両方で売れた。“エアセンス ウォーク”(空気を履いた感じで歩こう)をコンセプトに、軽量・とクッション性・防滑性に優れた快適なシューズとしてリピーターも付いた。革で1万円台前半の小売価格も手頃。

 黒のレースアップやサイドゴア&ファスナー付き、といったカジュアルブーツを抜いて登場したのが、プレーンなショートブーツだ。ショートについては前年も売れたが、今季はホワイト系のストレッチタイプが圧倒的に支持された。装飾を排除し、スクエアやポインテッドのラスト形状に、太めのストレートヒールといった表情は、トレンド感を表現するブーツとして売れた。

カジュアルブーツの売れ行きは若い層を中心に、前年に引き続いて好調だった。特に「ドクター・マーチン」がレディス市場をけん引した。ソールもさらにハードな厚底や厚パン、ヒール調のタイプも加わり、編み上げのほか、サイドゴアやサイドファスナーなど多彩なデザインで動いた。また、メンズでもサイドゴアが人気となり、オン・オフ兼用にビジカジタイプが大人のブーツとして売れた。
 

 夏場、ニットスニーカーと並んで売れたのが、プラットフォームサンダル。スニーカー調のソールに、ベルトやメッシュ使いのサンダルで、スニーカーサンダルともいわれた。ここでは「キーン」のユニーク≠竍ニューポート≠ェ代表的な人気ブランドになった。幅広い価格で売れたのも今季の特徴で、1万円を超す商品も売れた。一方、エレガンス系のフラットサンダルは、前期のような勢いはなかった。

 コロナの流行で、密にならず、ファミリーで楽しめるレジャーとしてキャンプが注目され、キャンプ用品の需要も盛り上がりを見せた。靴ではこれまでのハードなアウトドアに代わって、「メレル」のようなライトアウトドアやサボ、バブーシュといったアイテムが動いた。こういった商品は、タウン履きにも兼用できることが特徴だ。
今ランキングには入らなかったものの、コロナ流行下では、室内履きの需要も高まった。ここではコンフォート性を備えたタイプやワンランク上の商品が動いた。

 近年の気候変動の中で、急な豪雨や局地的な降雨に対応できる、水に強い靴が求められた。ただし、これまでのような防水機能だけでは満足されず、晴の日も同じように履くことができる、晴雨兼用の靴が求められ、人気となった。ここでは透湿防水素材を使った高級品だけでなく、生活防止といわれるような、簡易的なはっ水機能や防滑性を備え、ファッション性も取り込んだ商品が売れた。

 価格的にも、機能的にも多彩になっているコンフォート提案の中で、専門店で実績を上げていたのが、1万〜2万円前半の価格で売られる国産の革コンフォートだ。ここでは「アサヒメディカルウォーカー」「アキレスソルボ」といった大手メーカーのブランドが、売場の売れ行きに貢献した。コンフォート機能を搭載し、快適性を訴求する商品が市場に多く出回っている中で、供給側の売場サポートも売上げアップに貢献している。