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特集2 景気予測と対策 「今年はこうなる」「こうする」
靴・バッグ業界アンケート 半数強が景気回復を予測期待。EC・サステナブルに高い関心

タンナー、革卸、靴・バッグの製造、卸、小売のほか、皮革業界の団体まで網羅し、今年の皮革業界の市況予測や取り組みなどを、アンケートで聞いた。

1 今年の業界の景気は?
  「良くなる」が「変わらない」を上回る

 2021年は前年に引き続いてコロナの影響を受けた。アンケート時点では収束に向かっていたが、22年の景気はどうなるのか、各社の予測を聞いた。
 結果は「良くなる」が5割を超えており、景気回復を予測している。まだ回復には向かわないとする見方も4割近くあり、21年以上に「悪くなる」と予測する企業も、少数だがある。




1―2 「良くなる」の予測の売上げ伸び率は?
     2ケタ台増が1ケタ台増を上回る

 「良くなる」と回答した企業に、予測する売上げ伸び率を聞いた。
「1ケタ台」と、「10%台」の伸びが同数となったが、「20%以上」を加えると、2ケタ台の伸びを予測する企業の方が上回っておる。ここでも期待も込めて、市況回復を予測している。


2 コロナ前と比較しての今年の売上げは?
  依然、コロナ前には届かないとの見方

 ここ2年の市場は、緊急事態宣言下にあり、売上げも本来のものではなかった。ここでコロナ前を100として、22年の売上げがどうなるのかを予測してもらった。
 2の質問では2ケタ台の伸び率を予測したものの、76%の企業が依然、コロナ前の売上げには届かないと見ている。一方で、「110%以上」に回復、と予測する企業も2社いた。




3 サステナブルへの関心は?
  「関心がある」が5割を超す
 近年のビジネス・トレンドとなっているサステナブルへの関心を聞いた。
 ここでは「関心がある」と「非常にある」を合わせると、9割の企業がサステナブルに関心を持っており、すでに製品開発などで取り組んでいる企業もある。一方、「関心がない」との回答は1社もなかった。




4 今年予想される業界の出来事は?
  すべての業態で「EC売上げの伸び」を予測

 皮革業界で予想される出来事やビジネス上の変化を取り上げ、3項目まで選んでもらった。
 回答で最も多かったのが「EC売上げの伸び」となった。コロナが流行する中で、ネットを使った販売は好調に推移したという現状があり、今後も伸びるものと予想している。
 2番目に多かったのが「人手不足」で、とくに川上の方に回答が多かった。次は「小売店の閉店増」と「他業界からの参入」が同数で並ぶ。小売店舗の減少については、靴、バッグの両業界とも予想している。



5 今年実施を予定する項目は?
  靴・バッグとも「SNSの強化」がトップ

 5割以上の企業が景気の回復を見込むなかで、今年どんなことを実施する予定か聞いた。ここでも予想される項目を挙げ、回答してもらった。
 トップは「SNSの強化」が上がった。すでに小売店では進んでいるが、あらゆる業態で外とつながり、自社の業務、商品をアピールすることに取り組もうとしている。
 ほかには「従業員教育の強化」「新業態の開発」「サステナブルを実行」「新規販路の開拓」と続く。「サステナブルを実行」は、まだ取り組んでいる企業は少なく、企業姿勢をアピールするものとなっている。




6 価格はどう変わると予想しますか?
  「上がる」との予測が6割を占める

 最近はあらゆる産業で値上がりが伝えられているが、皮革関連の素材や靴・バッグの価格についてはどう予想しているのか聞いた。
 最も多いのが「上がる」という予測で、59%を占めた。「変わらない」を21ポイント上回っており、新製品での値上げを予想している。反対に「下がる」は3%のみだった。



7 ECの売上げ比率は変わるか?
  全体売上げの5%未満に留まる

 5の質問で「ECの売上げの伸び」を多くの企業が予測しているが、では自社の売上げに対して、EC売上げの比率はどこまで伸ばすのかを聞いた。
 「5%未満まで」とするのが41%と最も多く、「卸として、小売店の取り組むEC市場には参入しない」といったこえもあった。次が「6〜10%まで」で、1割以下が全体74%で、まだECでの売上げは小さい。



8 注力していくカテゴリーは
  関心高いキャンプ&ライト・アウトドア

 今年、注力していく商品カテゴリーを聞いた。
靴ではライト・アウトドア、介護&シニアシューズ、室内履きの順。この他、サステナブル志向の靴、ジェンダーレスシューズが上がっている。
バッグではキャンプ・アウトドア関連バッグ、財布・小物、スマートフォン周りの革小物のほか、テレワーク対応のバッグ、小旅行・国内旅行とのバッグ&ケースが上がっている。