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「D級レザー」活用を産学連携で提案革卸の富田興業は11月10日、国際ファッション専門職大学との産学連携事業「レッザレジリエンス プロジェクト」の研究発表会を本社ショールームで開催した。市場には出せない大きなキズや虫刺されなどがある「D級レザー」を、どのように活用していくのが良いかをテーマに、発案したプロセスと実際の商品を、学生と社会人の合同チームがそれぞれ提案した。 レザーには品質に応じて等級分けがあり、A、B、C級までは市場に出せるが、そのままでは流通できないD級レザーが存在している。これが長らく倉庫に眠ったまま、活用されていないという現状がある。SDGs的観点からも、この問題は業界内で見過ごすことができない課題となっており、今回のプロジェクトとなった。 協力した国際ファッション専門職大学の学生は4グループに分かれ、富田興業の社員も加わり、7ヵ月間かけてプレゼン資料を作り、プロトタイプの作製までを手掛けた。 プレゼン会場には、学生らが発案したプロセスをまとめた資料と、実際に製作したサンプル商品を持ち寄り、個性的でユニークなアイデアを披露した。 当日は外部から審査員も呼び、アイデアに対して客観的なコメントを聞くことで、さらにリアルな学びの場に繋がった。 業界の常識にないアイデアを期待最優秀賞に輝いたのは「KIZUNA LEATHERプロジェクト。「ピンホール」といわれる小さな虫食い穴のあるD級レザーをあえて生かし、革のランプシェードを作成した。プロジェクトの初期段階からタンナーと協力し、革そのものを一から染めて、他にない深い色合いに作り上げるところからの努力が評価された。優秀賞は「紙を革に変えるKAWAKAMI SAN プロジェクト。フラワーショップで使われる、花を包むラッピングペーパーを革にしては? という発想と、女性らしいアイデアが評価された。 これらのプロジェクトは、12月開催のレザーフェアの富田興業のブースで実際に発表され、業界内外から高評価を得た。 「今回のプロジェクトは、D級レザーを中心に、すべてのレザーを資源として有効活用するために立ち上げたものです。ファッションマーケティングを研究している大学と連携し、学生の業界の常識にとらわれないアイデアを取り入れることにより、レザーの可能性を再発見する機会にしたいと考えています」と富田常一社長は話す。 |
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