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2022年版 靴・バッグ・資材 売上高ランキング280社

靴・バッグ・資材の2020年以降の直近決算期データを調査・集計した。数字はアンケート調査を中心に、公表されている信用調査データも参考にした。一覧表は業種・業態別に上位50位までで集計している。併せて発表された純利益も掲載した。

全体動向

業界全体で16・2%の減少

2020年版靴・バッグ業界の小売、卸、製造と資材の3業種・6業態の売上高を279社で集計した。
総売上高はおよそ1兆3100億円、前年比16・2%減少という結果となった(決算期変更などの企業に含む)。決算期が20年夏以前の企業もあるが、多くの企業が新型コロナの影響を受けており、2ケタ台での前期割れが目立った。
業種・業態別の集計をみても、すべて前期割れとなっており、最も下げ幅が大きかったのは靴小売で、靴製造が唯一、1ケタ台の下げ幅に留まった。


靴小売

ECでの販売がけん引

靴小売50社の売上げ合計は4300億円、前期比19・6%減と、皮革業界では一番低迷した。50社のうち、前期を上回った企業は7社、前期割れは42社だった。21年はコロナの影響が大きく、実店舗では来店客数の減少がそのまま売上げ低迷に結びついている。とくに都心立地で店舗展開の小売は厳しい状況が続いた。
一方、コロナ禍の中でも伸ばしている企業を見ると、EC主力の企業で、オンラインでの販売は順調に推移した。また、M&Aによる店舗数の拡大で売上げが伸びた企業もある。また、コロナをきっかけに、今後も採算が見込めない店舗の整理も見られ、売上げを下げたところもあった。
21年6月期決算のビーンズ(香川・高松市)は、当期19・2%の伸びとなった。「売上げの90%はECでの販売によるもの。オリジナルの『アミアミ』ブランドが認知され、3000円台のパンプスやバレエシューズが売れました。コロナで出かける買い物に出かける機会が少なかったことも、ECには好影響となった」(山口良二社長)。
EC関連では他にはヒラキやロコンドが伸ばしている。


靴卸

スニーカー・安全靴が堅調

靴卸50社の売上げ合計はおよそ2200億円、前期比18・9%減と靴小売に次ぐ下げ幅となった。このうち、前期を上回った企業は6社で、44社が前期割れとなった。今回は外資系のスニーカー販社は売上げを公表していない。
スニーカーやアウトドア関連を扱う企業が比較的安定している。また、オリンピックとの関連か、安全靴を扱う企業も伸びている。
100億円を超える企業は、前年と同じ6社で、前期100億円台に上がったロイヤルはマイナスになったものの、100億円台を堅持した。
婦人のトレンドョン商品を扱う企業は、コロナ禍で全般に苦戦している。


靴製造

低価格商品が好調

 靴製造50社の売上げ合計はおよそ3100億円、前期比7・5%減で、前期に引き続きマイナスとなったものの、6業態の中では最も小さい下げ幅にとどまった。このうち、前期を上回った企業は5社、前期割れは45社で、靴業態の中では最も伸びた企業は少なかった。
 100億円を超す売上げ企業は、前期と同じ6社。この中で伸びたのはミドリ安全のみで、販社と同様、オリンピックなどの建設ラッシュが背景にあるのか。
 ほかには、低価格帯での競争力のあるブランド、商材を持っている企業が伸びている。
 21年7月期決算のダイマツ(静岡・駿河区)は12・0%の伸びとなった。「売上げは堅実に伸びているが、特に新しい取り組みをしたということはない。ただ、靴の種類を増やしていて、それが順調だったことはある。サンダルとシューズを扱う会社だが、ランニングシューズの分野が伸びている。コロナの影響はあまり感じなかった」という。
 パンジーの系列会社で、中国生産を手掛けるアペックス(大阪・浪速区)は、21年7月期の決算は18・5%の伸び。「2000年以来、中国の自社工場で生産を続けていて、コロナ禍でも商品供給が安定していたことが伸びにつながった。今年は昨年に比べれば良い状態で、売上げもコロナ禍以前の8割程度は戻した。来年はコロナが落ち着いて通常の状態に戻ってくれることを願う」という。



バッグ小売

巣ごもり需要が貢献

 バッグ小売は32社で集計、売上げ合計はおよそ1200億円、前年比17・5%減となった。このうち、前期を上回った会社は6社、前期割れは25社となった。これまで上位に入っていたフィットハウスは、同じはるやま傘下のサマンサタバサジャパンリミテッドと合併し、会社名は後者を名乗っている。また、この結果、サマンサタバサジャパンリミテッドは当期9・4%増と伸ばす結果となっている。
市場でM&Aの進捗もあり、寡占化が進むバッグ小売で、東京デリカは圧倒的なシェアに誇るが、当期は31・3%減となっている。また、これまで好調に伸ばしてきたギャレリア・ニズムやマザーハウスも、当期はマイナスと苦戦している。
上場を果たしたバルコス(鳥取・倉吉市)は、20年12期の決算では42・5%増となった。「コロナ禍だった20年は、店舗の売上げは落ちたものの、テレビ通販やインターネット通販に力を入れた点が伸張の背景。もともと4、5年前からテレビ通販には力を入れてきたが、ここ数年で伸びているチャネルで、緊急事態宣言の中、巣ごもり需要がさらにけん引する役割となった。購買の動機付けにつながる?開運財布≠ネどを提案できたことも大きかった」(管理部・佐伯英樹さん)。


バッグ製造・卸

旅行需要の低迷が影響

 バッグ製造卸50社の売上げ合計はおよそ1300億円、前期比16・5%減少となった。前期を上回った企業は6社、前期割れは44社。前期は皮革関連6業態の中で唯一、前年をクリアしていたが、コロナ禍、旅行関連の需要が激減したことで、マイナスの結果になっている。また、最大手のエースは、今回は非掲載として公表していない。
 少子化が進むランドセル市場。一定の需要は見込めるが、海外からの輸入もあって、市場は激戦化している。今回セイバンも公表しておらず、榮伸が9・2%の伸びを見せて15位に登場している。


資材

皮革・資材の大手は前期割れ

靴・バッグ関連の資材製造・卸47社の売上げ合計はおよそ940億円、前期比17・9%減と下がっている。前期を上回った企業は4社、このうち近畿ビニールは前期5ヵ月決算。前期割れは43社で、前期割れの企業が目立った。
21年9月期決算で43・8%増となったタンナーの宮内産業(長野・飯田市)。「ランドセル向けのコードバン需要は、コロナに関係なく堅調の動きをみせた。売上げのアップは、これまでの作って売ることだけにとどまらず、原皮やクラストの貿易関係も手掛けるなど多角化を進めた結果」(宮内清彦社長)という。

●詳しいランキングデータは本誌に掲載