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特集 春だからシッカリ勧める!「シューケア&フットケア」

シューボーイズ池袋

 靴磨きと革靴の魅力を広げるユーチューバーの店

店舗中央のカウンターで靴磨きを実演

靴磨きのユーチューバーとして、約10万人のフォロワーを持つ「靴磨き芸人」の奥野奏さん。チャンネルの中で靴磨きについての情報を発信し続けているが、リアル店舗「シューボーイズ(SHOEBOYS)を2020年夏にオープンし、話題となっている。靴磨きと革靴の魅力を日本に広めるために立ち上げた、靴磨き&革靴専門店だ。奥野さんは普段はユーチューブの収録のためこの店舗に常駐はせず、週末に店頭に立っている。
白いレンガとガラス張りのファサードが印象的な店舗は、池袋駅から徒歩15分ほどの閑静な住宅街の中に位置する。約10坪あまりの店舗の入口正面には、広々した靴磨きカウンターがある。入って右手には、オリジナルの靴クリームやシューケアグッズがラインアップ。反対側には、若い世代に履いてもらいたいという、おすすめの靴ブランドをそろえる。また、壁面にはオリジナルデザインのステッカーが一面に貼られ、ポップな雰囲気を演出している。これは販売もされている。

若い世代が入りやすいポップな雰囲気を演出

「最近話題の靴磨きショップはバーカウンターのような雰囲気で、敷居が高いと感じる方も少なくありません。ステッカーなどでストリート感を出して、若い世代が入りやすいムードを意識しました。最近は近所の住民の方のリピーターが増えてきました。また立教大学が近くにありますので、学生の方々も少しずつご来店いただけるようになり、先日の成人式前には持ち込まれる方が多かったです」と武田拓也店長は話す。
現在は2種類の靴磨きサービスを用意。基本的な汚れ落としをする「ベーシックシューシャイン(1100円)
と、つま先やかかとなどに鏡面加工を施す「プレミアムシューシャイン(2200円)」。男性の靴だけでなく、女性のパンプスなども持ち込みも増えてきたとのことだ。



靴磨きを豊かな時間にするお香や音楽も提案

シューケアグッズは複数のブランドを用意。「サフィール」「モウブレイ」「ブートブラック」をそろえるが、1社だけで絞らず、それぞれのブランドが持つ良さを伝えていきたいとのこと。不思議なことに、靴クリーナーの隣にはお香が並んでいる。
「靴磨きの時間をより楽しんでほしいという思いで、靴を磨きながらたくお香を提案しています。また、靴磨きにぴったりのオリジナル音楽を自分たちで作り、QRコードをお渡しして、ご自宅で聞いていただいています。靴磨きの時間を、より豊かに過ごしてほしいという願いを込めました。若い世代ならではのサービスを実施している。
 革靴初心者の人に勧めしたい靴ブランドとして「ジャラン・スリウァヤ」「スコッチグレイン」「ジョゼフチーニー」などをラインアップする。特に「42nd ロイヤルハイランド」では、シューボーイズとのコラボレーション企画を提案している。スニーカーのような履き心地のソフトなインソールに、ビジネスシーンでもカジュアルスタイルに合うよう、少しボリューム感のある底周りが特徴だ。
「ユーチューバーの奥野さんのファンは、全国にいらっしゃいますので、実際、店舗に足を運ぶとのできない方に向けて、配送靴磨きサービスも検討中です。もっと若い世代に、靴磨きの楽しさを伝えられる工夫を凝らしていきたいです
と武田店長は話す。

◆東京都豊島区西池袋3-11-12 
TEL:03-6907-0126




東急ハンズ新宿店

女性のシューケアをサポートするマイスターが活躍

「シューケアマイスター」を前者で14人配置

東急ハンズでは、2018年9月から「シューケアマイスター」認定試験を実施し、各店舗にシューケアに関する豊富な知識を持つシューケア専任の販売スタッフを配置している。第1期が4名、第2期生が6名、第3期生が4名の計14名のマイスターを養成してきた。1期生には1名、2期生には3名、3期生には2名の女性が輩出されている。
この認定試験は、(一社)日本皮革製品メンテナンス協会の公認マイスター試験であり、東急ハンズは理事企業の一員としても同協会に参画している。
第1期のシューケアマイスターである作田綾紗さんは、新宿店に所属。靴磨きの技術だけでなく、初心者や女性の方に向けたていねいな接客に定評があり、作田さんに相談しに来られる方も少なくない。

自作の靴を売場に置き靴選びや手入れを助言

彼女の手元にはシンプルなひも靴がある。自分の足から作ってもらった木型を使い、作田さん自身が仕立てた手作り靴だ。靴作りの教室に通うまでのめりこんだ背景には、作田さんが昔から既成の靴が合わず、長らく悩んできたことが大きい。また、シューケアだけでなく、靴そのものの構造を理解したうえで、顧客に的確な助言をしたいという思いもあったという。
「以前から、足のサイズが大きくて合う靴がなく悩んでおり、そこから足や靴について学び始めました。特に女性が気軽に靴や靴磨きについて相談できる場は、ほとんどないと思います。最近では『小さいサイズのシューキーパーがほしい』と来店される方や、『本格的なグッドイヤーの靴を購入したが、ケアの仕方が分からない』というお声も聞かれます」と作田さん。
改めて靴のことが良く理解でき、シューケアに加えて、靴選びのアドバイスなどもできるようになったという。
ネットで知識は得たけれど、自分の靴にふさわしいケアかどれか? この汚れは落ちるのか? などを誰かに教えてほしい。そんな女性たちにとって、作田さんは相談しながら実演も見られる貴重な存在となっている。


靴磨きのカウンターを設置コミュニケーションの場に

売場での相談の折りに勧めしているのが、「M.モゥブレィと東急ハンズがコラボレーションしたシューシャインクリーム。シューケアマイスターが監修し、素材も1から考えて作られたものでで、皮革の内部に深く浸透し、長く良好な状態で履くことができる。靴クリームでありながら香りも良く、初めてシューケアを始める方や、靴クリームの独特な香りが苦手な方にもお勧すめしている。
「M.モゥブレィ」に加え、売場には「コロンブス」「サフィール」「ライオン」「ヴィオラ」などクリームは圧倒的な品ぞろえ。他にも各種ブラシ、シューキーパー、防水スプレーなど、シューケアに必要なアイテムが、15坪ほどの売場に陳列されている。
また、店内には新たに靴磨きの相談を受ける小さなカウンターを設置。口頭でのアドバイスだけでなく、靴磨きの実演を通してコミュニケーションのとれる場として活躍している。
 現在はバレンタイン商戦も近いので、靴クリームをチョコレートに見立てたディスプレイが売場のアイキャッチにしている。また「保革クリームにプラスワンするなら?」というコーナーも設けて、客単価アップも図っている。

お客からの靴の相談に乗るコンシェルジュ≠目指す

「女性も含めて、さまざまな靴の相談に乗れるコンシェルジュ≠フような存在になりたい。自分が靴で悩んできたからこそ、お客さまのお話をうかがいながら、一緒により良いケア方法をアドバイスさせて頂きたいです」と作田さん。マスクの下のとびきりの笑顔が印象的だった。
東急ハンズは今年3月31日(予定)付けで、ホームセンター大手「カインズ」のグループ入りが発表されている。新たなDIY文化を共創し、双方の強みを発揮したパートナーシップに今後が期待されている。

◆東京都渋谷区千駄ヶ谷5-24-2タイムズスクエアビル2〜8F 
TEL:03-5361-3111(代表)