今月の記事・ピックアップ 2022・2
 フットウエアプレス > 足サイズ計測調査事業 報告書 
足サイズ計測調査事業 報告書 日本皮革産業連合会

1977年からの40年間の変化解説

(一社)日本皮革産業連合会は、足に優しい靴作りを目指すなど、今の商品作りに役立てることを目的に、2015年から足サイズ計測調査事業を実施し、今年1月、調査報告書の報告会を実施した。

足サイズ計測実行委員会の委員長は鈴木隆雄氏(桜美林大学 老年学総合研究所所長)。当日、報告書の解説したのは同委員会ワーキンググループの楠本彩乃氏(リーガルコーポレーション)。
足サイズの調査はこれまで、1977年、87年、2008年に発表されており、今調査が4回目となり、過去のデータと比較し、時代変化も明らかにしている。
今回の事業実施期間は2015年から21年で、新たに19歳以上を計測調査のサンプリング対象にした。総数1442名で、内訳は男性685名(19〜94歳)、女性757名(19〜101歳)だった。
報告書では、40年間の変化を次のようにまとめている。

男女とも足長は伸長を続けている

男女とも足長第一趾、足長第二趾、足長第五趾は伸長し続けている。ここで伸びているのは、内不踏長、外不踏長とも、ボールジョイントより後方が伸長しておる。これは、土踏まずを支える足底縦アーチの低下で、後足部だけが長くなっている。

足囲は変わらず足幅は広がる

男女とも、足囲についてはサイズ変化は認められないのに対して、足幅は広くなっており、ボールジョイント部の断面形状が扁平化している。これは横アーチの低下が生じている可能性が挙げられる。また、踵幅が変わらない中で、前足部の幅とのギャップが拡大している。

アーチ低下で変形が進む

男女とも内側角度、第一趾側角度ともに増加している。いわゆる外反母趾のような変形が少しずつ進行していることが示された。とくに女性で強く観察されるが、ここでもアーチ低下が生じている可能性が示唆されたとする。

JISサイズの足囲は男女とも変化が進む

足囲については40年間で最も細くなったと総括している。男性の最多足囲EE、女性のEは過去と変わらないものの、男性の44歳以下では最多足囲がEに、女性の64歳以下ではC、D、Eの出現頻度がほぼ同率であった。こうしたことは過去の調査ではなかったという。
また、ユニバーサルデザインとして、男女共有の木型でサイズ展開している商品も見られるが、幅径・周径・高径項目で大きく性差が存在しており、履き心地の面では問題があるとしている。
 調査では自称サイズと実測の足長、足囲の関係も取り上げ、ばらつきが非常に大きいことを指摘している。肉足・骨足といった足質の個性、ゆるさ・きつさの好みの個性などが理由として考えられ、サイズ計測だけではジャストフィットと感じてもらえる靴の提供は難しいとしている。
 なお、報告書は業界向けに作成したもののほか、消費者向けに概要をまとめ、日本皮革産業連合会(JLIA)ホームページに掲載し、内容更新を実施している。