今月の記事・ピックアップ 2022・3
 フットウエアプレス >  特集 春のスニーカー便り

そごう横浜店

パンプス主力の売場にシェア拡大する大人スニーカー


ブランド別のコーナーでオシャレなスニーカー提案

 そごう横浜店地下1階婦人靴売場には、常時1万足の靴が展示されている。顧客は40代の女性を中心に幅広く、おしゃれなパンプスが数多くそろえられている。ここ数年カジュアル化の傾向があり、スニーカー類もよく動くようになった。ABCマート、パトリック、ルコックスポルティフ、アシックスウォーキングなどのコーナーもあり、ファッションブランドでも「大人向けおしゃれスニーカー」を提案している。
 「歩きやすいブラックパンプス」として有名なワコールの「サクセスウォーク」からは、軽いホワイトソールのスニーカーが販売されている。独自に開発した前滑りを軽減し、荷重を軽減する「3Dアーチパッド」を搭載している。カラーも春らしいオークカラーだ。価格は1万6500円。
 このフロアにコーナーを持つABCマートでは、「ニューバランス」が売れ筋のトップ。同じ?996<Vリーズだが2タイプあり、一つはホワイト×ゴールドのリッチな色使い(限定色)でスムースレザーを使用。スタイリッシュだが幅があり、クッション性も高くなっている。もう一型はメッシュとスエードレザーのコンビで、履き口の部分がゼブラ柄になっていてさりげなくトレンドを押さえている。
 このほか、ディズニーとコラボレートしたアディダスのスニーカーや、コンバースなども好調だ。


ハイブランドからもスタイリッシュな打ち出し

 ハーモニープロダクツのブランド「ブリジット バーキン」では、厚底のホワイトソールで、アッパーに星形のビジューをつけたスニーカーを提案している。もともとビジューやリボンをつけたフェミニンなパンプスが得意なブランドで、そのテイストの延長で開発されたものだ。コアなファンもおり、ダッドスニーカーのブームが去ってから、装飾的なタイプのものが少なくなっていることから注目されている。価格は1万4300円。
 「ローレン ラルフローレン」からは、スタイリッシュな2つのタイプのスニーカーが登場している。双方ともホワイトで本革。サイドにLRLのロゴがあるタイプは、やや細身でギリータイプ。軽さがあり、スポーティーな感覚だ。ホワイト×ブラック、ホワイト×シルバーの2カラー。価格は1万7600円。もう一つは、ラインがアクセントになっているタイプ。白のレザーにレッド、もしくはブルーのラインが印象的だ。価格は1万4300円。
 

トレンドとして存在感増すホワイトカラー

 「もともとこの売場はパンプスのシェアがトップなのですが、カジュアルなローファーやスニーカーも次第によく売れるようになってきました。お仕事スタイルもパンプスだけではなくなり、この売場でもスニーカースタイルのお客さまをよく見かけるようになってきました。スニーカーでは、やはり無難でコーディネートもしやすい『ニューバランス』などをお求めになるお客さまが多いのですが、おしゃれな方の間では、『ローレン ラルフローレン』などキレイ目な大人スニーカーの人気も出ています。昨年の春夏シーズンよりも売り上げが上がるのではと、期待しています」(営業T部 婦人雑貨担当婦人靴係 シューフィッター 長谷部杏子さん)。
 春に向けて、ホワイトカラーのスニーカーが圧倒的な存在感を見せている。ホワイトでなくても、オークカラーやシルバーカラーなど、ホワイトに近いものが多い。アウトソールもホワイトソール、シルバーソールなどで、タンクソールなど厚底の傾向もある。
「ニューバランス」などでも70〜80年代の?クラシックランニング<cfルのデザインをカジュアル化し、これまでのメッシュ部分を革に変え、カラーもグレーからホワイトにするなど、トレンドに合わせた提案をしている。当分は、この傾向が続くと見ている。

神奈川県横浜市高島2−18−1
TEL:045−465−2111





アトモス千駄ヶ谷店

コラボレートによる限定モデルがファンを魅了する


メジャーブランドと機能的な商品を開発

 アトモス千駄ヶ谷店は2019年4月にオープン、1階のイベントスペース、2階の売場合わせて85uの面積である。ことに2階の売場は大きくうねりを持たせた壁面にスニーカーが展示され、アーティスティックな空間となっている。アトモスは全国に37店舗を展開するが、千駄ヶ谷店はそのトップに立つショップでもある。
 中心顧客はいわゆる「スニーカーヘッズ(コアなスニーカーファン)」であり、20代から50代までの男性。魅力は「ナイキ」「アディダス」「ニューバランス」などのメジャーブランドとコラボレートして作り上げた限定商品で、ファン垂涎の的となっている。
 「ナイキについていえば、昨年に引き続きエアフォースワンの動きがよく、ゴアテックス搭載など機能的なモデルが売れています。1万円台前半と価格的にお手ごろなのも、売れる理由かもしれません」(プレス よっぴさん)。
 今年はエアマックス発売35周年にあたるため、アトモスでも記念モデルを発売する予定だ。毎年3月26日はナイキが「エアマックスデー」と定めた記念日であり、イベントで盛り上げる計画だ。
 現在の売れ筋は、ブーツライクな「ラハール ロウ」で、ハイキングブーツを思わせるがっしりした厚底スタイル。同じロウシリーズの「ブレザー ロウ(アクロニウム)」は、ベルリン発のファッションブランド「アクロニウム」とナイキのコラボ商品で、踵部分の装飾が付属のドッグタグで外せるようになっている。

渋谷のグラフィティーをスニーカーに落とし込む

 アディダスとの取り組みもある。本明秀文社長自ら日本各地を回り「アディダス会」を主宰し、トークセッションを行って会場のファンと語り合い、交流を深めている。話題になっているのは別注商品で、渋谷の街のグラフティーアートをスニーカーに落とし込んだ「ZX8000」だ。
 もう一つがアディダス×リクチュール×アトモスの3社コラボで実現した一足。リクチュールは廣瀬瞬氏が開いたスニーカーのオールソールやカスタマイズを行うステーション&ショップで、その「モノを大切にすることが一番サスティナブル」という思想をもとに、さまざまな素材をつないだパッチワークのようなナチュラルなスニーカーが生まれた。SDGsの流れにも乗り、話題性に富んでいる。
 一方で、男女問わず幅広い層に根強い人気を誇っているのがニューバランスだ。こちらにも別注商品があって、「リアルツリーカモ」という、樹や落ち葉をプリントしたテキスタイル地と、ハンタージャケットをイメージしたオレンジのスエードがコンビになっている。

リサイクル素材使用でSDGsに取り組む

 アトモス千駄ヶ谷店のスニーカーモデルは多種多用だが、SDGsへの流れは確実に進んでいる。「エアフォースワン ネクストネイチャー」など「20%リサイクル素材を使用」というものも出てきている。
 「オンラインでお求めになる方がとても多くなっています。また、インスタなどを見て来店された方々もおり、スニーカーを知らない方はそのへんから情報を得られているのだと思います。これからはレトロランニング系がいいのではないかと言われています」。
 コラボレートによる限定モデルを中心に、ファンを集めるアトモス千駄ヶ谷店。次代の流れを占ううえでも、参考になるショップだ。

東京都渋谷区千駄ヶ谷ア3−16−9
TEL:03-5843-1017