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「スコッチグレイン有楽町店 Factory Lab」は今年4月に一周年を迎えた実験的な店舗だ。スコッチグレイン創業時よりの靴づくりに対する真摯な姿勢はそのままに、材料となる革をムダなく使い切るエコ視点の製品を取りそろえている。これらはアウトレット商品として位置づけられ、この店も「都内ではじめてアウトレット商品を扱う店舗」とうたっている。 一般的にアウトレットといえばB級品、シーズンで売れなかった在庫品というイメージで見られがちだが、有楽町の商品はその概念を覆す。スコッチグレインでは材料を一括して調達しており、そのうち上位に当たる革はレギュラーショップ用、次の等級の革をアウトレット商品用に使う材料として選別しているからだ。 アウトレット店の商品は素材の特性を吟味し、それを魅力的に引き出す商品企画やデザインを行う。そもそもレギュラー店とは仕様や販売チャンネルが異なる製品を扱っており、レギュラーショップ用の革とは風合いが異なっており、そのぶん価格が抑えられる。そのメリットは顧客の共感をよびヒット商品も出始めている。 「レギュラー店で販売されている同じようなシリーズ、同じ革を使った靴だと3万5200円クラスの商品が、アウトレット店では2万2000円からご紹介できます。『スコッチグレイン』は高級なイメージを持たれているのか、価格に驚いて手に取っていただけるケースが増えました。“材料を使い切るためのアウトレット”というエコ目線による製品づくりの意義が伝わりやすいシューズです」(小林正誉店長)。 売れ行きは好調で、昨年末の販促イベントでは在庫がはけ、補充した商品も完売してしまうという状況が続いている。 カッティング技術でキズのある革を上手に使うプライス面におけるメリットは、若年層の開拓にもつながった。それまで革靴には馴染みがなかった若者が、革靴デビューの一足にと来店するケースが増えている。「靴をネットで検索するとき、若い方はコストパフォーマンスを重視する傾向が強い。革靴、日本製、コストパフォーマンスなどのキーワードで検索すると『スコッチグレイン』がヒットしやすいようです。スニーカーしか履いたことがない、というお客さまもいらっしゃるので、売れ筋のストレートチップは20代の購入者がけっこう多いです」。 カジュアル系のシューズや小物には、ダメージのある革を逆手にとって企画された商品もある。"マトリックスシリーズ"は、その象徴的なもの。表面のカッティング加工がしゃれたデザインとして昇華され、「一目ぼれする方も多い」というほどの人気を呼んでいる。 「カッティングのデザインは弊社代表自らが施しています。かなり手間のかかるものになりますが、これも革傷が出てしまう素材を生かしきる知恵のひとつ。左右から見たとき印象が変わるのもポイントです。カジュアル系のシューズが全般的に注目されているので、エコ的な要素も含めた提案として時流に合っていると思います」。 最近は土日を中心に訪れるカップルも増えてきた。それがきっかけでレディスにも「スコッチグレイン」の靴が売れるようになっている。同店ではこのトレンドを踏まえ、ペアで靴を履いてもらえるような提案も行っている。 「素材やデザインがまったく同じというわけでないですが、雰囲気やシルエットがペアで履くときに合うような品ぞろえを心がけています。一昔前のカチッとしたペアルックではなく、ラフにペアでファッションを楽しんでいただければ」。 靴で使えない端材で廉価な革小物を制作店内で扱っている小物類は、靴で使えなかった端材の部分で作られている。一般の革商品よりも価格は低めで、財布で4000円のライン。とくに端材を生かした牛のマスコットは110円から販売している。お土産感覚で買う女性も多く、「玄関先に飾っても可愛いです」との声を寄せてくれる。集客や広報のツールとして力を入れているのはSNSとホームページ。同店のSNSのフォロアーは1000名を超え、店の浸透度もすすんでいる。とくに女性向けには「女子ラボ」というインスタグラムのアカウントも作成し、集客の強化に取り込んでおり、顧客の来店頻度の高まり具合にも手応えをつかんでいる。 東京都千代田区有楽町2丁目10-1 東京交通会館ビル1F 103 TEL:03−3213−4455 |
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