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売場面積190㎡にPB主体の62品目ワークマンのワークマンシューズ1号店に関し、3月11日の繊研新聞は概略、次のように報じています。「売場面積190㎡、年商2億5000万円を目指す。一般靴は19年3月期から前期まで売上げが毎年倍増し、今期も40%増と好調。既存業態では靴売場の拡張が難しくなったため、PB主体で高機能・低価格の一般靴専門店業態の出店を開始する。1号店の初年度は商品を62品目に絞り、PB開発が進み150品目までに増えた段階で主力となる路面店を出店、10年ほどで200店、300億円規模を目指す」 「この高機能・低価格の靴専門店業態は、現在の靴市場ではブルーオーシャン業態であり、当面はSC内に出店。モデル店舗で運営法を構築する」ともあります。 4月7日に大阪・難波シティの店舗を見た第一印象は、〝成功したワークマン+(プラス)のアパレル・雑貨を減らし、婦人靴8カラーを加えただけの店〟で、売り方も含め、期待した新業態とはほど遠いものでした。アパレルの一部で靴を扱う成功例は多いが、靴主体の店舗でアパレルを扱う成功例は、スポーツブランドの靴とアパレル以外ほとんどありません。 新店舗の靴は既存店で扱うスポーツシューズに、4スタイル8カラーの婦人靴を加え、フルサイズ・裸陳列とフルサイズ・フック陳列の、セルフセレクションサービスでの提供です。 目測ですがアパレルは約30%の売場を占めており、スタッフの数は、当日13時現在で2名でした。 目標とする売上げ数字はかなりハードルが高そうこの店舗の売上げ目標を推計値で分解してみると、次のような厳しい数値になります。① 月坪売上高≒33万円 ② 単価1800円 ③ 客単価2700円(客単価×1・5) ④ 1ヵ月平均の必要買い上げ客数7716人 ⑤ 1日平均257人(アパレルの売れ行きによっては、客単価が上がる可能性はあります)。 2号店とともに、実験店としてこのような数値も含め検証、修正を続けていくものと思います。 アパレルでの成功経験者による、靴専門店のチェーン化で成功例がないのは、主にアパレルと靴との次の3つの違いを学ぶ謙虚さがないからだと思います。 ① 品種別、価格帯別必要商圏人口の違い(アパレルは靴の6分の1以下) ② 客単価倍率の違い(一人当たり買い上げ点数の違い) ③ 同じ単価、同じ品目数なら靴の必要在庫数はアパレルより5割以上多くなる(サイズが多く、フリーサイズはない) 競合の少ない業態は学び、模倣すべきまた、靴専門店業態選択の対象となる、お客が靴の購入を決める要素を突き詰めることも重要です。下記6つの中の2~3の要素が重なって購入の決め手になります(購入するまではこのような要素で選んでも、購入後の靴、店舗に対する評価は、ほとんど「履きやすいか、履きにくいか」だけで決められます)。 『お客が購入を決める6つの要素』 ① ブランド(商品、店舗、企業) ② 機能(用途に応じた必要機能) ③ スタイル(木型、紙型、底形状、素材、カラー) ④ アップデイトファッション(底形状、素材、カラー) ⑤ トレンドファッション(木型、紙型、底形状、素材、カラー) ⑥ 価格(商品バリュー) 今回のワークマンシューズは①、②、⑥の3つが結びついたイメージの業態で、確かにブルーオーシャンへの船出といえます。期待した新業態とまでは言えませんが、「ブルーオーシャン業態=競合の少ない業態」への取り組み、商品開発など学び、模倣すべきところも多いはずです。6月にオープン予定の東京・池袋サンシャインシティの2号店も含め、観察、研究をすべき対象であることは間違いありません。 業態にしても、商品にしても、靴市場とは無縁の模倣はあっても、海外、国内の業態モデルに対する、「あるべき模倣」はあまり行われていません。このことが、靴専門店、百貨店・GMSの靴売場、靴メーカー停滞の一因とも考えられます。 |
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