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コンフォートと生きる ドイツ整形靴技術の靴店 イセヤ(千葉・船橋市)

ドイツ整形靴技術に基づき、顧客の足を考えるの悩みを解決

自らの外反母趾から整形靴の道へ進む

「ドイツ整形靴技術の靴店 イセヤ」は千葉・船橋市に1999年7月開業。オーダー靴、足底板、フットケアを主軸に、今年で23年の実績をもつ専門店だ。オーナーの吉原晴美さんの前職は銀行員。外反母趾に悩まされたことがきっかけで、足や靴に関心が向くようになった。
「社内で少し小さめの靴を履いていたのが原因でした。そのころはまだ外反母趾は一般に認識されておらず、自分も雑誌の記事で知ったくらい。なんとかしないと、とスニーカーを履いて勤めにいっていました。20代後半、テレビでヨーロッパでフットケア、靴の調整をするフランス人女性の先生の存在を知り“あっ、これだ”と思いました」(吉原店主)。
 これをきっかけにドイツ式フットケア・ネイリスト・リフレクソロジストの勉強をし、後にIVO・整形靴協会会長であるマイスター・カールハインツ・ショット氏にも学ぶことになった。こうして身に着けたドイツ整形靴技術に基づき、トータルで足のことを考える店として「イセヤ」をスタートすることになった。


多彩な品ぞろえとメニューで来店客一人ひとりに応じる

 ポリシーとしているのは「足で困っている人の問題を解決する靴を提供する」こと。はじめての利用客には電話(15分程度)かラインでの無料相談をお願いしており、その上でより踏み込んだ相談をしたい場合は、有料(3000円)で足の測定をすすめる。
測定はドイツ整形靴技術にもとづき、ていねいに時間をかけて行う。来店客の相談に応じる時間も含め、ケースによっては一人あたり2時間〜2時間半かかることも。そのうえで問題解決のために靴選びや、足底板制作の必要性があれば、顧客の希望に応じた見積もりの算出を行う。
 靴はドイツブランドである「フィンコンフォート」や「タナー」を筆頭に、さまざまなメーカー品を扱う。価格ラインは3〜4万円台が中心だが、スニーカーではアサヒシューズの1〜2万円台の値ごろ感のある商品も置いている。
足の状態によってはオーダーメイドでの対応が求められることも。たとえば障がいを持つ人の場合、最初からいろいろと細かなカスタマイズが必要になるため、ケースによっては10万円を超えることもある。こうした来店客一人ひとりのライフスタイルや予算に応じられる品ぞろえとメニューも「イセヤ」の大きな持ち味になっている。


SNSを活用してミドル層の顧客を開拓

 「イセヤ」を利用する年齢層は、40〜50代以上が多く、上は70〜80代になる。来店者の数はコロナの影響で一昨年は少なかったが、「今年は5月に入ってから来店する方が増えてきた。ありがたいことに40〜50代の新規のお客さまもいらっしゃいます」。
 「イセヤ」は40代の常連や新規客をたくみにつかんでいる。これは同店がネットによる広報に力を入れていることが大きい。同店ではネット戦略を強化するべく、昨年ホームページをリニューアル。その際、トップページからフェイスブックとラインに導くリンクを貼った。これにより“ネットでホームページを見た”と新規客が来てくれるようになった。
 同店は店主である吉原オーナーが一人で切り盛りしている。これからも顧客の増加が見込まれるところだが、課題として考えなければいけないこともある。
「ウクライナの戦争の影響で、革靴のコスト上昇や品質の維持などの面で心配のタネになるところはあります。ドイツに靴を頼まなくても良くなるように『靴づくりができる職人さんと連携できたら』とか、 『若い人ならスタッフとしてちょっと組んでみてもいいのかな』とか、思うところはありますね」。

千葉県船橋市前原西2-22-17
津田沼スクエアビル7F
TEL:047−471−1143