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特集 通勤シューズ、こんなに変わった
・スニーカー通勤、クールビズの提唱でビジネスシューズがカジュアル化してきた。
・コロナ流行以降、テレワークなどビジネスのスタイルが多様化し、さらにカジュアル化が見られ、オン・オフ兼用のシューズも増えている。
・コロナも収束に向かっている中、通勤シューズは定番的なドレスも復活しているが、ドレス、カジュアルともに足に優しい履き心地が求められている。




阪急メンズ東京(東京・千代田区)

  ニーズ高まるオン・オフ兼用タイプ

既存ビジネスもソフトタイプが良い

 「阪急メンズ東京」は2019年の改装の際に、シューズフロアを地下から5階へと移動させ、同時に展開ブランドも拡大させている。フロア面積は計1100u。壁面にはインポートブランドのインショップが11あり、またフロア中央には自主編集の平場を設け、ビジネス系ブランドとカジュアル系ブランドの、二種のセレクト売場がそれぞれ設けられている。
 特にコロナ流行後は、ビジネスの売れ筋にも変化がみられる。従来型のレザービジネスブランドの新アイテムとして、一枚革仕立てのソフトな製品が支持されるようになっている。
例えばスペインの「マグナーニ」は、独特な表情にファンの多いブランドだが、「マグナーニ・フレックス」という新たなラインで、カジュアルなスリッポン系を提案している。カラー展開も豊富で、グレーやブルーといったほかにない明るいカラーが映える。ソールは柔らかく屈曲性があり、インソールもクッション材がしっかり入っているため、長時間履いていても疲れない工夫がある。


多様な職業に向けたカジュアルアイテム
 
 カジュアル系のセレクトコーナーでは、フリーランスやクリエイターといった職業の人を対象に、最近の多様な職業の方にも対応したアイテムも充実している。
こうしたブランドの中には、レディスで人気の高いイタリアブランド「ペリーコ」の、新たなカジュアルラインとして登場した「ペリーコ・サニー」から、2021年に立ち上がったメンズラインがある。
シンプルなスリッポンに、ボリューム感のあるソールの組み合わせ、アッパーは黒スムースだけでなくメッシュ、毛付きレザー、エナメルなど、バリエーション豊富。こういったアイテムを、オン・オフ兼用として履かれている方も少なくないという。
国産ブランドでは「ブライトウェイ」も、カジュアルなビジネスアイテムとして人気が高い。大阪で作られているスニーカーブランドで、自社工房で修理が効く点は国内製造の強み。ブランドロゴすら排したミニマルなデザインで、スリッポンとレースアップの2型、カラー展開は白と黒の2色のみだ。飽きが来ず長く履けるという点で、若い世代からの支持が厚い。
「ビジネスパーソンの方々に接客させていただく際、最近では特に『オン・オフ兼用で履けるもの』というお言葉をいただくことが増えました。徐々に出勤の方が増えて、通常の通勤に戻る方も見受けられますが、やはりコロナでライフスタイルが切り替わり、働き方が多様になったこともあり、ビジネスシーンのカジュアル化は顕著に見られます」(紳士洋品雑貨営業部マネージャー、シューズ担当の宮武巧さん)。

東京都千代田区有楽町2-5-1  
TEL:03−6252−1381




そごう横浜店

  ビジネス・スタイルの変化で売れる「ビジカジ」

2万円前後の革靴でビジカジシューズ展開


横浜駅東口につながるそごう横浜店。紳士靴売場は5階にあり、65坪の売場を構える。奥にはインポート商品や国産の高級ブランドをゾーンがあり、隣にはガラスで囲まれたリペアコーナーが設置されている。また、カジュアルゾーンの壁面には、ハイグレードのスニーカーや、アスレチックブラントとは違う、ブランドスニーカーを展示している。
ドレスからカジュアル、スニーカーまで、幅広い年齢層のビジネス需要を主力に展開している。同売場のドレスの主力価格は2万円後半〜3万円台に対して、ビジカジ商品は2万円前後だ。これまで靴関連用品を除くドレスとカジュアルの比率は60対30だったが、最近は50対40と、カジュアルの比率が高まっている。
「スニーカー通勤やクールビズが提唱され、その後のコロナの流行下でテレワークなど通勤環境の変化や、ニューオフィススタイルの登場で、ドレスマーケットはシュリンクしています」(紳士靴売場担当、田中康之さん)。
こうした市場の変化に対応する中で、売場ではレザースニーカーを提案のほか、オン・オフ兼用シューズを提案している。

カジュアル化に機能性アップで

カジュアル化に対応して売れているブランドに「リーガル」がある。ゴアテックスやゴアテックスサラウンドといった高機能な防水透湿性を備え、衝撃吸収のインソール装着など、アッパーのデザインはそのままに、インソールやアウトソールに付加価値のあるもので、ジャケット・パンツなどカジュアルスタイルに合わせている。
この他にも返りの良さで支持される「エコー」、「コールハーン」のようにゴアテックスサラウンド搭載のほか、ムラ染めやソフト素材でカジュアルな雰囲気の靴として人気となっている。また、インポートの「サンダース」など本格的なドレスでも、底回りをラギッドなイメージのモノを使い、センターシームを3連に変えることで、カジュアルな雰囲気の商品として買われている。
「今後、コロナが収束すれば、通勤する人は増えると思います。ただし、普段履きの時間が長く、スニーカーなどに慣れた足に対しては、さらにソフトで屈曲性のいい、ビジネススニーカーといえるようなものが求められると思う」。
これまで、百貨店の売場は極力POPを置くことを避けてきたが、カジュアル化が進む中で、同売場としては機能性を解説するPOPや、内部構造をみせるパーツは展示していくという。

横浜市西区高島2―18―1
TEL:045−465−5423