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コンフォートと生きる fitfit (ルビ:フィットフィット)
履いてきた靴をチェックし、新たに購入した靴をパッド調整

「外反母趾にもやさしい」靴をオリジナルで開発

 「fitfit八重洲地下街店」は、東京駅八重洲口地下街のメインアベニュー近くに約14坪の店舗を構える。コロナ禍以前は出張中のビジネスマンや外国人観光客でごった返した通路も、今では付近に勤めるOLや近所に住む人たちのものだ。ただしここ数カ月間、地下街全体のインバウンド比率は着実に上がってきており、以前の賑わいを取り戻すのも、もう少しだ。
fitfit八重洲地下街店は、50〜60代の女性を中心に幅広い年齢層の来店がある。品ぞろえはすべてfitfitのオリジナルで、そのうちスニーカー系、パンプス系が売れ筋となっている。
店頭には大きく「外反母趾にもやさしい靴」と書かれており、そのためか、足にトラブルを抱える人の来店が多くなっている。外反母趾や扁平足をはじめ内反小趾、足底腱膜炎などさまざまな症状を持つ人たちがやってくる。
fitfitの靴にはいくつかの特徴がある。@木型がセンターラインを親指寄りに振ったオリジナルの「足なり設計」であり、親指がまっすぐに伸びる、A足本来の形に合わせた、高低差のあるつま先設計。つま先部分の親指側を高く、小指側を低く設定、B前足部から踵まで一体となった「3in1ソール」などだ。


接客の達人として受賞した「レジ・チェッカー大賞」

八重洲地下街店を預る山本等店長は、接客の達人として認められている。2021年、エイジスリサーチ・アンド・コンサルティング社の主催する「サービス・オブ・ザ・イヤー2021」では、「レジ・チェッカー大賞」を獲得し表彰された。「商品の特徴や靴のサイズの合わせ方など知識が非常に豊富」「ニーズの聞き方や相槌の打ち方などが、合う靴を履いてほしいという思いが伝わる親身な接客で好印象」などというのが、受賞の理由となり、全国4502店舗(業種問わず)の中のトップとなった。
「接客はまずカウンセリングから。よくお話しをうかがって、お一人おひとりに合わせた対応をします。足を見て、履いてこられた靴をチェック。『合う靴がない』といわれる方には、日ごろどんな靴を履いているのかをお聞きし、相談に乗りながら合う靴をお勧めしていきます。ご希望に応じて計測をし、寸法を出してお知らせします。今後の靴選びの参考にしていただければと思っています」(山本等店長)。

20数種のパッドに加え足に合わせて作ることも

ここからは、パッドによる調整になる。fitfitにはアーチ、踵、中足骨部など20種類以上のパッドが用意されている。これらを使いこなし、場合によってはフェルトなどで新たにその人の足に合うパッドをその場で作りつつ、ベストなフィッティングを目指す。fitfitでは、カウンセリングからスタートして接客が終了するまで、90分以内を目安としている。
山本店長は前職も合わせれば靴業界に28年というベテランで、シューフィッターの資格も持っている。現在は上級シューフィッター「バチェラーオブシューフィッティング」を目指して勉強中だ。
「外反母趾の方で浮指が重なり、蹴りだしができなくなってしまった方がおられました。アーチ部分と中足骨部分にパッドを入れてみると『趾で履ける感覚がわかる』と喜んでいただけました。お客さまにご満足いただけるのが、一番うれしいです」。

ていねいな接客で1万円台の靴を提供

「コンフォート」といえば、高額なインポートシューズとオーダーメイドインソールをイメージするが、fitfitでは手厚いフィッティングをしてもらっても1万円台。山本店長は2018年に転職してきたが、その理由は「外反母趾にもやさしい、とうたっている靴を扱っており、この価格帯できちんとフィッティングできるところは少ないと思った」からだという。
「お客さまに『来てよかった』と思っていただけるように、時間のある限り深堀した接客をしたい。フィッティングのための部材もあり、よりていねいな接客ができる環境ができていると感じています」と山本店長。
2人のスタッフと息の合った連携プレーで、顧客満足度のアップを目指す。

東京都中央区八重洲2−1 八重洲地下街 B1階
TEL:03・6262・3108