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特集 元気な歩行を助ける「シニアシューズ」

アルプスシューズ(東京・豊島区)

 50〜90代が対象。人気は楽に履けるスリッポン

3タイプの顧客に柔軟に対応する

 「おばあちゃんの原宿」ともいわれる巣鴨地蔵通り商店街。「アルプスシューズ」はちょうど商店街の核であるとげぬき地蔵尊・高岩寺の目の前にある。今年で50周年を迎える、25坪ほどのショップである。
 地蔵通り商店街は、今日もシニア女性たちで賑わいを見せていた。近所の人たちだけでなく観光客も多く、お参りに来たついでに思い思いのファッションや食を楽しんでいる。
 「アルプスシューズ」の顧客たちも、そんな女性たちだ。年代的には60〜80代が中心だが、実際は50〜90代と驚くほど幅広い。そろえる靴もドイツのコンフォートシューズからヘップサンダルまでと幅広い。
 「お客さまは基本的にシニアの女性なのですが、大きく3つに分けられます。足にお悩みがあってネットで調べるか、紹介されるなどで来店される、足の痛みを和らげて快適に歩きたいという方には、コンフォートシューズで対応。自分で自由に選べる方には、おしゃれでファッショナブルな靴をご紹介します。一方、店頭にはヘップサンダルやケミカルシューズなど廉価なものを置きます」(小林徹司社長)。

 

人気商品は楽に履けるスリッポンタイプ

 お勧めは「手間をかけずにさっと履ける靴」だが、同時に「フィット感が高いもの」。ひも締めすればフィット感が高まるのはわかっていても、より履きやすい靴がほしいという人のために、スリッポンタイプを用意している。
 「フィットジョイ」(ローウェル)は、シープスキンで柔らかく、ソールも軽い。履き口にはファーがあしらわれ、おしゃれ感がある。パープルカラーも好感度が高く、お勧めだ。「モネ」(ハヤシゴ)からは、柔らかな1枚革でつくられたスリッポン。コロンとした形も可愛らしく、アウトソールのクッション性も高い。ストラップ部分にゴムが組み込んであるため、フィット感があってはきやすい。
 シニアの間でもすっかり市民権を得たスニーカーだが、このジャンルからは「オン」(オンジャパン)のクラウドシリーズが売れている。ライフスタイルシューズである「パフォーマンスオールデイ」ラインで、デイリーに履ける。
 「ヴィジェヴァノ」(キタ)は、面ファスナーで止まるワンストラップタイプを提案。花柄のダークオークカラーで、シックな雰囲気。スニーカーのようなソールで歩きやすい。
 今年ブレイクが予想されるブーツでは、「アラ」(ウエスキー)のショートブーツが人気だ。ファー付きの可愛いデザインながらかなり機能的。ゴアテックスが搭載されているため、雨や雪にも強い。

理学療法士や医院の紹介増える

 小林社長は「マスターオブシューフィッティング」の資格を取得しており、FHAでシニア専門コースの講師を務めている。
 「いろいろなシニアの方がいらっしゃいます。80代、90代でもアクティブに行動される方もいれば、歩行が厳しく、娘さんが来店されて『施設に入所することになって』と買っていかれることもあります。どんなステージでも気持ちよく歩いてほしいと思っています」。
 同店にとっても、コロナ禍の影響は大きかった。そのなかでも理学療法士や皮膚科医院などとコンタクトができ、紹介によって来店する人が増えている。今後こちらにも力を入れていきたいと考えている。

東京都豊島区巣鴨3−18−17
TEL:03・3949・0086




ケア・クロス くつろぎ

 豊富なサイズ・ウイズの靴をそろえるケアショップ

3E〜11Eまでのウイズと片足販売で対応の「あゆみ」

「ケア・クロス くつろぎ」は稲川登夫代表と徳美夫妻で経営する、福祉用具販売およびレンタル、介護保険における住宅改修、シニアから高齢者・障害者向けシューズの販売を行っているケアショップだ。同店でのシューズ購入者はおもにシニア層と障がいを持つ人たちだ。
 メインで扱っているものは徳武産業の「あゆみ」、ムーンスターの「Vステップ」、アサヒシューズの「快歩主義」など。さらに顧客からの高い要望でヨネックスのウォーキングシューズ「パワークッション」を加えている。圧倒的に売れるのが「あゆみ」だ。同店のケアシューズ販売足数(2022年4〜9月)の約85%を同商品が占めている。
「あゆみ」の強みはサイズバリエーションが多いこと。高齢者になると脳梗塞などで装具を必要になる人もいる。装具対応の靴では、オーダーメードが必要になることもあるが、「あゆみ」では既成靴の中でおおむね対応ができる。そのバリエーションはウイズが3E〜11Eまで対応する。片足のみの販売もしており、左右サイズ違いでも注文できる。
さらにパーツオーダーのメニューもあり、甲部分のベルトの長さや足長・足囲、靴底の高さの調整、アウトソール素材の変更など、顧客の希望に合わせてきめ細かなカスタマイズも可能だ。



「装具を履いていても、足が左右違っていても、外反母趾があっても、幅広いウイズのバリエーションがあるうえ、サイズも28センチまである。お客さまのところへ試し履きのセットを持参して対応することも多いのですが、実際に履いてもらうとほとんどの方の足がカバーできます」(稲川代表)。
 ムーンスターのリハビリシューズも依頼が多い。「Vステップ 06」はベルトを引っ張るとポンとシュータンが出てスムーズに足入れができる。装具装着時は中敷きの取り外しが可能。また「Vステップ 07」は甲ベルトの長さ調整機能だ。
「装具を履く方には若い人もいる。それなりにおしゃれもしたい。『Vステップ』はデザインが若々しいのも持ち味です。07タイプが出たときは数も相当出ました。色違いで何足か買う方がいたくらいです」。

健常者に人気の「快歩主義」「パワークッション」

 「快歩主義」は健常者に人気がある。高齢でも元気で外歩きを楽しく人に「歩行時につまずきの心配がない」ことで人気だ。また、「パワークッション」はLC30≠ェ軽量タイプでよく売れるという。履き心地の良さに加え、長持ちすることも人気の理由になっている。
 長く愛用するには履き方も重要になってくる。このため接客時には履き方のアドバイスも欠かさない。
「踵を合わせたうえで、紐をしっかり結ぶ。つま先のほうは多少余裕を感じる靴を選んでいただいています。そうすることで履き心地が良くなると同時に、靴擦れも起こさない。一度履くとリピーターになり、おなじみの品番で新作が出るとご購入になる方もいらっしゃいます」。
カラーはパール系がさまざまな服との親和性が高く、受けが良い。
多彩なケアシューズをそろえている点は、靴専門店や量販店にはない魅力がある。「ケア・クロス くつろぎ」はていねいな対応もあり、口コミやネットでその存在を知った来店客が増えている。遠くは大宮、東京、群馬エリアからも訪れる人がいるほどだ。


埼玉県東松山市箭弓町1‐7‐5 ユートピアフジ1F
TEL:0493−27−1110