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 フットウエアプレス > 2022年度版 靴 ヒット商品番付


“まだない1足”を求め、男女とも靴需要が拡大

2022年靴の売れ筋傾向は、「シンプルなデザインをモード(現代版)にアレンジ」、「デザイン性と機能性の融合(ハイブリッド)」、「カジュアルとエレガンスの中間デザイン」、「これまでにない斬新な機能性」が大きなキーワードとなった。男女共に〝まだない1足〟を求める傾向がより高まった。




昨年の需要動向から期待が集まった今年のブーツ商戦。予想通り、広い年齢層に買われる商品となった。特に人気はショート&ハーフではラギッドや厚底ソール使いやサイドゴアのカジュアルなタイプがリードした。昨年トレンド商品として登場したロングブーツは、黒を主力に、圧倒的に若い層に支持された。

 パンプスにも履き良さや快適性を求める人が増えており、フラットシューズが人気となっている。ヒールによるデザイン性がないため、アッパーのアクセサリー使いやから、素材背で差別化して商品が増えている。同じような背景で、フェミニンなデザインのローファーもオン商品として支持されている。

スーパー厚底シューズは、ティーンズでは欠かせない存在となった。2022年はサンダルやショート&ロングブーツまで波及し、新たな1足を訴求できる店頭の起爆剤となった。一方、大人女性も楽しめる、ほどほどのボリューム感が特徴のロックソール(厚底)スニーカーが、専門店で人気となった。

 幅広の革ベルトを編んだ、グルカ兵の履いた靴を模したサンダル。数年置きに注目され、ヒット商品なっているアイテムで、昨年はトレンドとして登場し、今年は多くの企業が発表したことで売れた。レディスではマニッシュなデザインが定番で売れたが、23年春夏ではフェミニンなデザインも出ている。

男女共に、クラシックなコート・スニーカーが人気となった。白のクラシックバスケットはレディスでも一般化し、ローカットを中心に幅広い着こなしで大活躍。一方、メンズでは黒のクラシックコートをモードスタイルにも合せた。ストリート系からモードスタイルまでハマる万能スニーカーとなった。

カジユアル色の強いマニッシュパンプスと言われてきた、足の甲部分をストラップで固定する「甲ベルトパンプス」が、大人のモードスタイルやエレガンススタイルでも登場。ファッション誌では〝メリー・ジェーンパンプス〟と呼ばれ、よりエレガンスに進化したメ甲ベルトパンプスが人気となった。

働くスタイルが多様化する中で、オンオフ兼用で楽しめる汎用性の高いシューズが、男性のビジネスシーンでより求められるようになった。革靴ブランドの提案する「レザースニーカー」や「ビジネススニーカー」が、ビジネスシューズの新しいスタンダードとして全国の男性ビジネスマンの間に広がった。

「スパットシューズ」とは、チヨダのPB「セダークレスト」が提案する手を使わず、足だけで着脱することが可能な新しい発想のシューズ。キャッチーなネーミングやユーチューブによる動画解説などのPR効果もあり、スニーカー、ビジネスタイプとも、同ブランドの人気シリーズとなった。

 6月の梅雨期や9月の長雨シーズンに限らず、急な雨に見舞われる機会が増えている中で、メンズのビジネスに限らず、通勤パンプスやフラットシューズなどで、晴雨兼用の機能を備えた靴が、付加価値を備えた靴として年間で売れた。オシャレなレインブーツも人気だが、普段履きできる防水性を備えた靴が支持された。

室内履きメーカーの大手3社は、いずれも売上げを伸ばした。中でも紳士用の売上げが増えており、コロナ禍の中、テレワークの普及などで在宅時間が長くなったことで、室内履きの需要が拡大した。今回の特徴として、個人需要の商品としてコンフォート性が求められており、同時に単価アップの傾向にあった。