今月の記事・ピックアップ 2023・4
 フットウエアプレス > 靴市場データ 
靴小売業データ (経済センサス‐活動調査2021より)

市場規模は1兆3300億円。靴専門店のシェアは38%・5100億円

総務省が2021年の各種企業の活動動向を調べた「経済センサス‐活動調査」を発表した。前回の同調査は5年前の16年に調査し、18年に発表している。
16年の調査結果と比べ、5年間の変化を調べた。同時に異業種の売上げシェアを推定する。



専門店年間販売額
5133億円

2021年に靴小売店の年間販売額は5133億1800万円、16年比76%。売上規模は5年間24%、1641億円減ったことになる。平均すれば1年間で328億円ほど減ったことになる。
調査データは、従業員数の規模で11区分に分類しているが、500〜999人と1000人以上の従業員を抱える企業は5社を数えるが、この5社の販売額は3411億円あり、全体の66%を占めている。
大手5社に次ぐ販売規模は、従業員300〜499人の企業5社が348億円と大きい。ただし、売上げシェアは全売上げの7%に留まり、トップ5社の寡占化がいかに進んでいるかがうかがえる。

1店平均売上げ1億円

21年の1店舗当たりの平均売上高は、1億円をわずかに上回る1億0099万円だった。この金額は16年比93%と、7%ほど下がっており、1店舗の平均売上高は大きくは減っていない。
大手5社の平均売上高は1億1300万円と、全体平均を上回っている。最も高いのは50〜99人規模の会社11社で、平均売上高は1億6300万だった。一方、4人以下の店舗の平均売上高は2032万円だった。
 ちなみに、異業種の婦人・子供服小売の1店舗当たりに売上高は、21年は1億2300万円で、靴小売の平均額を2000万円ほど上回っている。




専門店数
5083店

2021年の靴店舗数は、チェーン店も含め5083店、16年比82%。店舗数は5年間で1124店舗減って6000店を割っている。1年間で平均200店舗ほど減ったことになる。
最も店舗数が多いのは、全国でチェーン展開する従業員数1000人以上の企業3社で、店舗数は2876店で、店舗数でのシェアは全体の57%を占めている。次に店舗数が多いのが、従業員4人以下のパパママ・ストアで578店舗ある。5〜9人の店舗も229店舗ある。
最も店舗数が少ないのは、従業員数20〜29人規模の企業で、店舗数は97店である。ちなみにこのクラスの1店舗の平均売上高は、9200万円と全体平均よりも低い額である。一方、1店当たりの平均売上高が最も高い、従業員数50〜99人規模の店舗数は137店あるが、11区分では4番めに少ない店舗数である。


専門店従業者数
2万8100人

臨時雇用者を除く靴専門店の従業者数は2万8166人、16年比76%。5年間で従業員数は8892に減っており、年間では平均1800人ほど減ったことになる。店舗数の下げ幅より、従業員の数の減る割合が大きいことは、コロナの影響に加え、臨時雇用者でカバーしていることも考えられる。
 1店当たりの平均従業員数は6人、これは16年調査と変わっていない。
 これを企業規模別にみると、最も多いのは200〜299人の企業と、500〜999人規模の会社で、1店当たりの平均従業員数は9人いる。大型店を多く展開する1000人以上の企業は、同6人体制である。
 1店舗当たりの平均従業員数を他業種と比べると、婦人・子供服小売は靴小売と同じ6人ほど。対して男子服小売は12人、スポーツ用品小売は11人ほどと、2倍近い従業員を抱えている。




業種別市場規模
百貨店・GMSシェアは21%

21年の「経済センサス‐活動調査」が集計する他業界でも靴は売られており、その売上げ規模を類推する。
百貨店・総合スーパー(GMS)≠フ売上高は、11兆5969億円、16年比92%と、1ケタ台の下げに留まっている。店舗数は逆に増えており、1店舗当たりの売上規模は大きく下げている。
男子服小売業≠ニ婦人・子供服小売業≠ニいったアパレルの売上げ規模は、男子服小売業≠ヘ2兆0756億円、16年比149%と伸びている。一方、婦人・子供服小売業≠フ売上げは3兆0753億円、16年比66%と下げている。店舗数はともに下げている。
スポーツ小売はスポーツ用品・がん具・娯楽用品・楽器小売業≠ナ集計されているが、その売上げ規模は1兆8411億円、16年比91%で、1ケタ台の下げだった。このうち、スポーツ用品の小売規模は1兆1000億円ほどと推定されている。
急成長をしている通信販売・訪問販売小売業≠ナ集計される販売規模は5兆5523億円、16年比76%だった。ここにはネット通販に取り組む他業界の販売規模は含まれておらず、21年の物販のEC市場規模はおよそ13兆円とみられており、すでに通信販売の市場規模を上回っている。こうした業界でもスニーカーを中心に靴は販売されている。

スポーツ用品店が伸ばす

ここからは推定数字となるが、靴市場規模1兆3300億円に対して、業界外の靴販売規模は8200億円となる。これまで5割を超えていた靴専門店の売上げ比率は38%ほどに下がっており、業界外の同比率は62%ほどになる。
業種別に推定すると、これまで売上高の3%ほどを占めていた百貨店・GMSの靴売上げは、全体規模の縮小だけでなく、靴の売上げ比率も下げているとみられており、靴の販売規模は2800億円と推定される。
男子・婦人・子供服の靴販売も、一部のアパレルチェーンを除いては増えていない。また、扱い品種もケミカル靴が主力で、この点でも全体の販売規模は下がっていると予想され、販売規模は1100億円程度を推定される。
スポーツ小売はスニーカー人気で靴の売上げは伸びており、2800億円と百貨店・GMSと同じ規模になっていると推定される。
EC販売を含めた通販の物販売上げ規模13兆円の内、20%弱が衣料・服飾雑貨の売上げ規模と推定されている。この中に含まれる靴の扱い規模は10%以下と見られ、金額にして1500億円と推定される。