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靴・バッグ・資材 売上ランキング260社

靴・バッグ・資材の2022年以降の直近決算期の売上高を調査・集計した。数字はアンケート調査を中心に、公表されている信用調査データも参考にした。一覧表は業種・業態別に上位50位までで集計している。併せて発表された純利益も掲載した。

全体傾向

総売上高前年比8・6%増加、すべての業種・業態が増加

2024年版靴・バッグ業界の小売、卸、製造と資材の3業種・6業態の売上高を262社で集計した。
22年、23年の決算期は、依然としてコロナ禍の状況下にあったものの、総売上高はおよそ1兆4300億円、前年比8・6%増と、業界全体の売上高は前年に引き続いて上向く結果となった。
業種・業態別の集計で見ても、前年はバッグ製造・卸は前期を割っていたが、当期はすべての業態で前期を上回っており、バッグ製造・卸、資材は2ケタの伸びとなっている。個別企業で見れば増減があるが、増加企業がいずれも半数を超える結果となった。


靴小売

46社平均8・8%増で、都心立地の店舗も好調
靴小売46社の売上げ合計は4800億円、前期比8・8%増と、前期集計の3・7%増をさらに上回る増加率となった。47社のうち、前期を上回った企業は31社、前期割れは12社だった。外出機会は増え、都心立地、集客力の高いSCに出店する小売店はさらに伸ばす結果となった。
コロナ禍の中で好調を維持しているEC主力の企業は、依然順調に販売を伸ばしているほか、実店舗での販売が主力の各社も、EC部門の売上比率を伸ばしている。一方、前期割れの企業も2ケタ減少の企業は減っている。
 トップのエービーシー・マートは、前期の2ケタ増に続いて、今期も2ケタ増を記録している。チヨダは「スパットシューズ」など機能性を備えたプライベートブランドが好調で、前期のマイナスから、今期はプラスに転じている。
7位のダブルエーは前期に引き続いて2ケタの伸び。「22年春にテレビCMを打ち、『跳べるパンプス』を訴求したところ、認知度が上がって商品が売れた。秋にはWEBのCMで「ORTRスニーカー」のプロモーションをタレントも起用して展開し、売上UPにつなげることができた。この2つのブランドの貢献が大きかった。23年は気温に左右されがちでブーツのうごきも遅かったが、季節になると稼働がよくなってきた。来年は、しっかりお客様のお求めになっているものを提案すると同時に、トレンド性をとらえていきたい」。
 当社子会社の卑弥呼は16位にランキングされており、23・9%と大きな伸びを見せた。



トラベル需要と夏の猛暑が好影響
 11位のリーガルコーポレーションの小売業態のリーガルリテールは、今期は16・6%の伸び。売上げは前期に引き続いて2ケタの伸びを見せた。「コロナ禍があり、一時期さがっていた売上げが戻ってきたと感じている。ただ、全体で見るとコロナ禍前までにはまだ戻っていない。今年は猛暑があり、夏はよくなかったが、相対的に下期の動きは良い」。
 銀座ヨシノヤも前期に続いて2ケタの売上げ増加となった。「コロナが終息しつつあり、お出かけ、お買い物のニーズが動いた。お客さまの買い物のモチベーションには『トラベル』があり、その際に靴やバッグを買い替えられています。『旅』をテーマに商品提案してきたのがうまくマッチしたのでは。足元は旅先でも軽くて履きやすいレザースニーカーが引き続き好調、高級ホテルにもふさわしい雰囲気の一足の提供できました。
今年は猛暑でサンダルの動きも良かった。暖冬でブーツの動きが鈍かったが、ここにきて暖かな『ビーウォーム』や雨や雪の日でも履けるオリジナルの『アクアプロテックス』素材を採用したブーツが歓迎されている。
バッグでは、キルティング加工したラムのリュックがヒット、旅先で重宝するミニバッグもとてもよかった。また、高価なクロコダイルバッグも好評で、全体的に高級品が動く傾向にあるのでは」。




靴卸

6割の企業が前期クリアで前期比11%と2ケタ増
靴卸50社の売上げ合計はおよそ2400億円、前期比11・1%増と、前期の4・6%増から今期は2ケタ増となった。増加企業は31社と増えたものの、前期割れの企業も18社いた。市場ではスニーカーは好調ながら、今回も外資系のスニーカー販社は売上げを公表していない。
3位のリーガルコーポレーションの売上げは7%増と、前期より低い伸び率に留まったが、利益は大きく伸ばしている。売上構成比は、卸61%、小売39%の割合で、直営店は29店ある。百貨店業態ではビジネスシューズやパンプスを中心に堅調に推移いたしました一方、量販業態ではPB商品や低価格商品へのシフトが顕著となり、同社の中価格帯の取り扱いが減少し、低調に推移した。


靴製造

全体平均4・7%の増加 ゴム靴、安全靴が成長
 靴製造45社の売上げ合計はおよそ2900億円、前期比4・7%増と、1ケタながら前期に続いて伸びる結果となった。個別で見ると、前期はマイナス企業がプラス企業の数を上回ったが、今期はプラス企業が28社に対し、マイナスは16社という結果になった。
 ゴム靴などゴム関連のほか、安全靴、作業靴関連の企業が安定して伸びたほか、革靴製造も今期はプラスに転じたところもある。室内履き関連のメーカーは、今期は前期のような勢いはなくなっている。


バッグ小売

小型バッグと旅行関連が貢献 財布は安定成長に
 バッグ小売は31社で集計。この中にはバッグ関連だけでなく、有名海外ブランドの時計やアパレル、化粧品など服飾関連の商品を販売する企業も含まれるが、売上げ合計はおよそ1400億円、前期比4・4%増となった。前期の5・5%増よりは低い伸び率となったが、外出、旅行の機会が増え、コロナ禍の反動で好調な伸びを見せている。前期を上回った企業は21社、前期割れは9社だった。
1位のサックスバーホールディングスは、2ケタの増加と好調に推移した。アイテム別に見ると、メンズ・トラベルが前年比50・5%増の伸びを見せた。なかでもトラベルは172%増と、コロナ禍で低迷していた反動で大きく伸び、売上げ増加に貢献した。また、これまで好調な動きを見せていた財布は、今期は0・6%増に留まっている。
西日本でチェーン展開する14位のカトレアは2ケタの伸びを見せた。「福岡、沖縄など近隣の県から勢いが復活している。関西はまだ浮上できていない。22年~23年度は、コロナが開けて人が動き出したこともあり、トラベル関連が好調に推移した。特にスーツケースを主軸に、それに伴うミニバッグ、ショルダーなどの動きが良い。23年度はトラベル関連が前期比200%越え。ただ、全体的にレディスアイテムは厳しい。一昨年は財布・革小物が良かったが、今年は落ち着いている」(専務取締役の田中貴士氏)。


バッグ製造・卸

前期比18%増、トラベル関連が伸ばす
 バッグ製造・卸50社の売上げ合計はおよそ1600億円、前期比14・8%増となり、前期は6業態の中で唯一、前期割れとなっていたものの。今期は最も大きな伸びを見せた。となった。バッグ小売と同じように、旅行関連のトラベルケースの企業が伸ばしている。また、少子化の中で、ランドセルメーカー・卸は明暗はあるものの、高級化もあって、比較的安定した売上げを残している。当期伸びている企業は21社、前期を割っている企業は9社となった。
前期に引き続いて2ケタの伸びを維持している協和は、「今期は旅行需要がようやく回復し、スーツケースなどの売上げが戻ったことが大きい。ただ大型タイプではなく、近場用の小型・中型がまだメインとなっている。また直営小売店の『モンサック』ではランドセルの『ふわりぃショップ』を増やしたことが貢献した。ランドセルには軽量感を求める方が増えたことから、耐久性と軽さ、6年間保証の点などを支持された」(広報・皆川京子さん)。

コロナで原価を見直し、利益が取れる体制に
 11位の井野屋は現在、直営店を19店展開している。「コロナ禍の間に社内で、製品に対する原価率の見直しを行った。今までの原価の付け方を精査し、過去にさかのぼって正しく利益が取れるように、この機会に見直しをした。小売部門では、海外のお客さまが戻ってはきたものの、コロナ前の水準には到達していないので、これからの伸びに期待したい」(経理部・梁氏)。
 22位の三洋は40・5%と高い伸び。「コロナが開けて徐々に売上げが戻っている。コロナ前に29億円あった売上げも14億円まで一時期は落ち、ようやく24億円弱まで回復してきた。特にスーツケース、キャリーケース系がメインで引っ張っており、メンズビジネスなども堅調に推移している」(専務取締役の三川征史氏)。



資材

皮革関連は大手が順調な伸び
靴・バッグ関連の資材製造・卸40社の売上げ合計はおよそ1000億円、前期比11・7%増と、前年の1ケタ台の伸びから2ケタの伸びとさらに上向いている。とくに上位にランクされている皮革関連の企業の多くが好調な伸びを見せている。前期を上回った企業は33社、前期割れは7社と、好調企業が大きく前期割れの企業を上回った。