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特集 コスパで勝つ! 「兼用シューズ」


 高島屋 日本橋店 婦人靴売場

◆レインシューズもトレンド感を意識 

 2019年秋に高島屋日本橋店がリニューアルし、3階には地域最大級の婦人靴売場「シューワールド(Shoeworld)」がオープン。ポップアップのウイークリー提案なども行い、変化のある店頭を意識している。婦人雑貨アシスタントマーチャンダイザー 次長 日比野京子さんにお話しを伺った。

「テンパレイト」は国産のレイン専用シューズのブランドだが、アッパーが華やかなビジューやタッセルなどを施すことで、雨が上がっても軽やかに履けるタウン兼用のデザイン。一般的にレインシューズは暗めな色が多いが、こちらはベージュやホワイト系も提案が多い。靴底から浸水しない一体成形のPVC(ポリ塩化ビニル)製なため、汚れや傷がつきにくく、ケアが手軽なところも人気要因。
「卑弥呼」では、晴雨兼用シリーズを提案しロングセラーに。手軽な合皮タイプと、はっ水加工を施した本革タイプの2シリーズ。特に柔らかな本革を使用したバブーシュタイプは、かかとが踏めるデザインなので、ちょっとそこまでのお出かけにも便利。
「ジル・スチュアート」では、結婚式などの晴れの場と、通勤にも使えるという汎用性のある“兼用パンプス”が人気。正面から見たアッパーはベーシックなデザインだが、ヒール部のみにビジューを施し、バックシルエットが華やか。太めなヒールで通勤時の歩きやすさもキープ。
「アルカ」で提案するイタリアブランド「クリスピー」は、登山靴の発想からアレンジしたタウンシューズ。足にトラブルがある方でも、インソールでしっかりホールドするデザイン。また底材にビブラムソールを使用し、滑りにくいのも特徴。アウトドアとタウンの兼用として支持されている。「カンペール」では、モードな登山靴風のデザインが登場。ボリューム感のある厚底デザインに、オレンジのラインが効果的。ビブラムソールを採用しているので、タウンと軽登山との兼用シューズとしても人気。

◆オンオフ兼用ではモードなスニーカーが人気 

 スリッポンタイプでオンオフ兼用、トラベル兼用アイテムとして堅調なのが、「ブリジットバーキン」「ランバン・コレクション」のスニーカー。「紐を結ぶのが面倒」という声が多いこともあり、気軽に履けるデザイン性の高いスリッポンタイプの人気が高いとのこと。ビジューやスタッズなどでエレガントなイメージを打ち出す。
「コールハーン」ではパンチングレザーを使った、軽量で歩きやすい厚底スニーカーがトラベル兼用、オンオフ兼用としても支持。SDGsの観点から“たんぽぽの茎”を混ぜ込んだオリジナルソールがポイントとのこと。「アルシュ」では、独自の屈曲性の高いソールを活かして、折り曲げてスーツケースに収納し、旅先でも活躍するプレーンなパンプスも提案されている。
「コロナ以降、特にスニーカーをお仕事用にされる方が増えたので、バリエーションを豊富に揃えています。兼用できるコスパだけでなく、紐を結ぶ時間が惜しいというタイパ(タイムパフォーマンス)を求める方も多いので、デザインとのバランスを取りながらニーズにお応えしたいと思っています」と、日比野さんは話す。



◆高島屋日本橋店 
東京都中央区日本橋2-4-1  TEL:03-3246-4471





 
 京王百貨店 新宿店 婦人靴売場

◆晴雨兼用とオンオフ兼用 
 履きやすい靴を求める方が多く来店する京王百貨店新宿店。春の買替え需要もあって、売場はことのほか混雑しているシーズン。
ここでの展開では、兼用シューズのバリエーションも広い。「エンチャンテッド」のバレエシューズは、“晴雨兼用”シューズとして人気が高い一足。一般的にバレエシューズはソールが薄く足が痛くなりがちだが、これは歩きやすいモールドソールで履き心地がよい。カラーバリエーションも豊富で色違いで購入される方も少なくないとのこと。晴雨兼用としてのニーズは、特にブラックが人気。1万円台前半というのもリーズナブル。

靴メーカーであるライズのオリジナルブランド「ルフレ ジュイール」は、“オンオフ兼用”のシューズとして支持が高まっている。ヒールの高いパンプスで通勤する方が減り、このようなローファータイプが急増。こちらは一般的なローファーよりもヒールを高めにし、エレガントな雰囲気を意識。また細めのゴールドビットとすっきりしたラストが、仕事にもオフシーンにも活躍するデザイン。
京王百貨店では別注カラーも用意し、リピーターのニーズにも応えている。日本製で20,900円というプライスも魅力。


◆アウトドア兼用と旅行兼用
 このところ絶好調な注目ブランドが「エコー」。広告に人気の若手女優を起用するなど、積極的に客層の若返りを図っている。特にこの「MULTI-VENTアウトドアシュー」は、エコーらしい履き心地や軽さなどを備える、“アウトドア兼用”の一足。
ゴアテックスを使った防水製法と、靴の中の熱を排出する通気性の高いベンチレーションシステムを採用。ラバーソールが防滑性を備えているので、ちょっとした近郊の登山などのアクテビティに向いている。黒が人気だが、ベージュなどのカラーはタウン用としても支持される。

アシックスの「ペダラ」は、最近デザインが若々しくなっている。またアシックスは海外での認知度も高いため、わざわざ日本国内で購入したいというインバウンド需要も増えているという。
こちらは“トラベル兼用”シューズとしてお勧めしている。ペダラの持つ履き心地の良さに加えて、細めの木型にエナメル素材、ホワイトソールというきれいめな雰囲気が、旅先の夜のシーンにも活躍しそう。エナメルなのでちょっとした雨にも強い。
「最近は靴の値段も上がっているため、どんなシーンで兼用できるのか“コスパ”を求める方が増えてきたように感じます。歩きやすさだけでなく、デザイン性や値頃感などお客様からのニーズをバランス良く汲み取りながら、品揃えに活かしていきたいです」と、婦人・紳士服飾部 アシスタントバイヤーの町田悠さんは話す。

◆株式会社京王百貨店新宿店
東京都新宿区西新宿1-1-4  TEL:03-5321-5340