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ショップ訪問 にほんのくつ 鎌倉長谷店(神奈川・鎌倉市)

メイド・イン・ジャパンをインバウンド客にアピール

観光客で賑わう長谷で「スピングルムーブ」販売

 観光客で終日にぎわう鎌倉・長谷。メインストリートである長谷寺や鎌倉大仏への参道沿いに、今年3月1日「にほんのくつ 鎌倉長谷店」がオープンした。古民家を改築した一角で、ウッド調で落ち着いた雰囲気の4坪ほどの店舗である。「にほんのくつ」は、神戸・京都・奈良と関西地区に3店舗あり、長谷店は4店舗め。コンセプトはその名の通りメイド・イン・ジャパンの靴を販売することにあり、長谷店では「スピングルムーブ」(ニチマン)を中心に扱っている。
 長谷は、江ノ電で鎌倉からわずか3駅だが、観光客が増加の一途をたどる鎌倉とくらべ、ややオープンでのんびりした雰囲気。そんな環境に、古民家を改装した店舗はよく似合っている。この店舗は「Jine」が開いたもので、平栁 尽(ルビ:ひらやなぎ・じん)代表はこのほかに「アルカヤ靴店 鎌倉御成町店」「アルカヤ靴店 鎌倉小町店」を経営している。また、「にほんのくつ」は日本全国に店舗を展開している「アルカヤ靴店」の姉妹店でもある。
 「長谷に店舗を構えたのは、観光客が多いのでメイド・イン・ジャパンであることをアピールしやすいと思ったからです。お客さまは外国人観光客と地元の日本人のみなさんで、外国人観光客は中国、韓国、台湾、香港などアジア系の方々が多いですね。外国のお客さまは、カラフルな靴がお好みのようです」(平栁代表)。


50型を超すデザイン数を用意。多くの靴を試履きしてもらう

 外国人の来店客には、「スピングルムーブ」のブランドを紹介することからスタート。その特色は、何といってもバルカナイズ製法でしっかり設置された巻き上げ型のソールである。さらに、手作業で作られていること、安心の日本製であること、カンガルーの革を使用していて軽くはきやすいことをアピール。
長谷店でもっともよく売れているのが、このカンガルー製のもので、「履き心地がいい」と、足入れしてみるとほとんどが購入に至るという。
 すでにスピングルムーブを良く知っている日本人客に対しては、品ぞろえを大切にし、新作も積極的に紹介している。4坪という面積ながら50型以上をそろえ、他店との差別化を図っている。日本人客には、どちらかといえばシンプルな形が好まれている。 
「スピングルムーブは、修理のできる靴なのです。何度も修理して大切に履いている方を拝見すると、嬉しいですね。購入された靴を、後日履いてきて「とっても履きやすいよ」といってくれるお客さまもいます。やはり、嬉しいです」。
 店内に入ると、「わっ、こんな形もあるの?」と、スピングルムーブのファンは大喜び。顧客層は30~60代と幅広く、長谷店では男女比が半々くらい。ことにアジア系外国人の女性ファンが多いという。スピングルムーブはもともとユニセックスだが、最近では女性用のタイプも数多く開発されるようになった。
 フィッティングのポイントは、たくさんのサイズ・形を履いていただくこと。一つのサイズ、形を履いただけでは、本当に合う靴はわからない。それで、できるだけさまざまな形・サイズにトライしてもらう。そのため接客時間は一人当たり約30分と、比較的長くなる。

裸足でサンダル代わりのニットスニーカーが売れ筋

 平栁代表は、個人的にもスピングルムーブの大ファン。「このお店では、ブランドの良さをより深くお伝えできると思っています。自分でもいつも履いていて、ときに私の履いている靴がとてもいいので欲しいというお客さまもいるほど」とのことだ。
 オープン直後のため、顧客の中心は外国人観光客で、地元ファンの開拓が待たれるところだ。今後はインスタグラムなどSNSも積極的に活用していく。
 現在の売れ筋はニットスニーカーで、素足でも履けるため湘南ではサンダル代わり。5月上旬になれば、人気のサンダルも店頭にならんでいく。
 

神奈川県鎌倉市長谷1-15-16
TEL:0467・84・7295