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店長の仕事 昆野 愛(こんの・あい)さん(バークレー 横浜ランドマークプラザ店店長)

忙しいお母さんたちに短時間で最良の靴を提案

 「横浜ランドマークタワー」は横浜みなとみらい地区にある巨大な高層ビルで、上層階に横浜ロイヤルパークホテル、1~5階をショッピングモール「ランドマークプラザ」が占める。この2階に「バークレー 横浜ランドマークプラザ店」がオープンしてから12年、昆野愛さんは途中に異動はあったが、長年この店の店長を勤めてきた。その接客ポリシーは、ひたすら「お客さまに寄り添った提案をする」こと。
 「お子さまのいる方と独身の若い方とは、お買い物の仕方が違ってきます。若い方々はSNSなどで情報を持っていらっしゃるので、お話の中でお似合いになる靴を探していきます。お子さんを連れていらっしゃる方には、まず店内のサークルにお子さんを入れ、遊ばせていただきながらお話を伺います」(昆野店長)。
 子供を持つお母さんは忙しい。会社にも出勤しなくてはならないし、幼稚園や保育園のお迎えも待ったなし。靴がカジュアルすぎればオフィススーツに合わないし、パンプスでは急いで駅に行くときに不便だ。
 「そこで、履きやすくてもおしゃれ感のある一足をお勧めします。短時間でいかにその方に合ったベストな提案ができるかがポイントです。靴の価格も上がっているので、一度に何足も買うことはできません。お客さま自身も、あこがれの一足ではなく、ライフスタイルを充実させる一足を選ばれる。一足で何通りも兼用できる靴を提案し、合わせてウエアとのコーディネイトもアドバイスします」。
 得意先との会議にも履け、その足で駅に飛んでいける靴。カジュアルすぎず、時に友人との会食も楽しめるおしゃれな一足。そんな何通りにも履ける靴が、今求められている。昆野店長自身が子供を持つ母親でもあるため、このママ目線からの親身な接客はたいへん好評で、足繁く通ってくる人、母親世代も含めて3世代で来店する人など、ファンづくりに大いに役立っている。


客層や天気を配慮し頻繁に商品陳列を変更

 昆野店長のもう一つの大切な仕事が「選品」である。バークレーはメーカーのカワノのオリジナルブランドで、展示会もカワノの社内で行われる。そこで自店に合う商品をセレクトする。
 横浜ランドマークプラザ店に来店するお客は、平日と週末で変わってくる。平日は周辺で働く女性たちや食事を楽しむグループ、上階のホールで行われるコンサートに来た人たち。週末は一転して観光客が多く、大型客船が停泊すれば外国人旅行客があふれる。
 「パンプス、軽量スニーカー、トレンド商品を入れます。今季はグルカサンダルを、一足早くソックスと合わせて提案しました。さきほどのお客さまも、半歩先のファッション提案なのね、と買って行かれました。週末はホテルにお泊まりの方々が『足が痛くなったので履きやすい靴を、でもスニーカーは嫌』と駆け込んでこられます」。
 選品された靴は、ブランドの枠を外して店頭に並べられる。天気や曜日など、状況に合わせてディスプレイも頻繁に変える。例えば「足が疲れている方が多いな」と思えば、かがまなくていい位置にスニーカー的なものを、紐をゆるめて並べておく。出ているサイズは、同一にせずに異なる物も置く。サイズ違いを素早く提案していくためだ。
 気配りは、セールでも同様。どうしても同じ型のものを隣に並べてしまいがちだが、あえてバラバラにする。「何かいいものがありそう」というワクワク感を持ってもらいたいからだ。試しばきの後は靴底をすべて拭いてきれいにする。すべてが、「お客さまの目線で考え、より便利で買いやすく」するための配慮である。
 昆野店長はこのショップのコンセプトを「心地よい空間で素敵な明日を(一足を)」としている。
 接客も、セレクトやディスプレイへの細かな配慮も、すべてがその「お客さまの笑顔」に結実する。

横浜市西区みなとみらい2-2-1
ランドマークプラザ2F
TEL:045・232・4400